弘前「ロマントピア」の天文台、存続望む声

「星と森のロマントピア」の天文台「銀河」が誇る大型反射望遠鏡=21日夜、弘前市相馬地区

 施設の老朽化や経営状況の悪化などで11月から休業となる青森県弘前市所有の観光宿泊施設「星と森のロマントピア」(同市相馬地区)には、1989年の開業時からシンボル的存在として親しまれている天文台「銀河」がある。宇宙の彼方の弱い光も捉える口径40センチの大型反射望遠鏡は一般に公開されている県内の天文台の中では最大だが、現時点で休業後の活用に関して決まっておらず、関係者からは「残念」「もったいない」との声も。天文台には休業を惜しむ天文ファンが連日訪れており、早期の再開と存続を願った。

 「すごい」「天井が動いてる」。21日夜、反射望遠鏡が据えられた天文台最上部の「天体ドーム」に親子連れの歓声が響いた。ドームは望遠鏡の向きに合わせて開口部が左右に動く仕組みとなっており、スタッフの山下諄(しゅん)さん(29)が「こと座のベガに合わせます」「土星の方角に合わせてみます」と言いながら装置を操作するたびに、子どもたちは目を輝かせた。

 この日は曇り空ということもあり、思うように観測できなかったが、天文台を愛する市民らが次々とドームを訪れ、山下さんや解説員の松谷彩音さん(30)と笑顔で会話。祖母と一緒に訪れた津軽中1年の野澤悠乃(ゆうだい)さん(13)は「小さい頃から来ているので楽しい思い出がたくさんある。反射望遠鏡では土星のリングを見たことがあるし、これからも残して、いつでも見られるようにしてほしい」と願った。

 天文台の料金はロマントピア宿泊者と弘前市民が無料で、その他も高校生以上200円、4歳以上100円と格安。子どもからお年寄りまで幅広い年代に天文の魅力を伝える役割を担い、最近の来場者は年間5千人前後で推移している。

 今年8月にはペルセウス座流星群を巡り、短時間に多数の星が集中的に流れる「流星クラスター」現象をカメラで撮影。X(旧ツイッター)上に投稿した映像が大きな反響を呼んだ。

 松谷さんと山下さんはともに同市出身で、弘前大在学中からスタッフやボランティアとして運営に携わってきたが、休業後の身の振り方は決まっていない。

 松谷さんは「休業は悲しいし、寂しい。天文台は何とか残して」、山下さんも「非常にもったいない。可能であれば何らかの形で活用してほしい」と語った。

天文台「銀河」のカメラで捉えた「流星クラスター」現象=8月13日未明(同天文台提供)

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