生き物描いた作品に焦点/志功記念館で夏の展示

「御鷹々々図」など志功の倭画が数多く並ぶ展示室

 青森市の棟方志功記念館は、志功が獣や鳥、魚など生き物を描いた作品にスポットを当てた夏の展示「御鷹々々(おんたかたかたか)-息づく生命」を開いている。志功の肉筆画「倭画(やまとが)」を中心に板画や油絵、書など計38作品84点を展示。志功が生き生きとした線や豊かな色彩で表現した、躍動する生命が来場者を楽しませている。

 かつて「絵は絵空事である」と言い「自然では全くできない立派なものを生ませるから『絵』である」とした志功。時には現実の生き物が取らないであろう姿勢なども描くことで、感じ取った生命の真実に迫ろうとした。

 岩山に立つ2羽のタカと、大きく羽を広げ飛翔(ひしょう)する1羽のタカを描いた「御鷹々々図(おんたかたかたかず)」(1960年)は、高さ約1.7メートル、幅約7.2メートルの大作。志功作品では珍しい、余白を大胆に利用した構図からは広大な空の奥行きが想像できる。29年夏、八甲田大岳を登っていた志功は両翼に見事な丸い模様を持つタカに出合う。当時画家として成功しつつあった志功は祝福を感じ、以来好んでタカを描くようになったという。

 油絵「志功之鯉魚図(しこうのりぎょず)」(32年)は、志功がタカと並んでよく描いたコイが画題。この作品では写実性が残っており、胴の長く赤いコイが4~5匹、水中を回遊している様子が描かれている。志功は中国故事に登場する想像上の巨大魚「鯤(こん)」を描いている、としており、後年では「御躍鯉図(おんやくりず)」(61年)や「御鯉魚図(おんりぎょず)」(69年)などのように、胴が短くうろこの描き方も簡略ながら動感あふれる画風に変わっていった。

 このほか、古代中国の伝説「蓬莱山」を画題に、松竹梅や鶴と亀、昇り龍などめでたさの象徴を画面いっぱいに描いた倭画「神説御蓬莱之図(しんせつおんほうらいのず)」(63年)、上田秋成の読本「雨月物語」の一編をテーマに制作した板画「夢応(むおう)の鯉魚(りぎょ)」(40年)なども並ぶ。

 同館の武田公平館長補佐は「肉筆画は板画と違いサッと描ける。志功の生き物の作品の多くが肉筆画なのは、出合った生命から受けた感銘を余すことなく描きたかったからではないか」と話した。

 同展は9月23日まで。会期中無休。観覧料など問い合わせは同館(電話017-777-4567)へ。志功の命日の9月13日は無料開館する。

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