
青森市の県立美術館は、コレクション展「2025-1」を開いている。今展は同市出身の世界的板画家棟方志功の自伝「板極道」の原稿と挿絵を初公開。原稿用紙のます目をはみ出し奔放に加筆を指示する棟方の筆跡や肉筆画などを通じ、自伝の制作過程にも表れる熱意や人柄に迫る。7月13日まで。
1964(昭和39)年刊行の「板極道」は、画家を目指し上京した棟方が、民藝運動の指導者や支援者、妻チヤの支えで板画家として活躍する過程を口述筆記でつづった自伝。同市棟方志功記念館の閉館後、作品の展示・研究活動を引き継ぐ一般財団法人が、古書市場に出品された原稿51枚(62面)と挿絵となった板画12点、肉筆画13点などを昨年度購入。今回は原稿26枚、挿絵16点を紹介している。
原稿には、出版社側が口述を書き起こした文字に重ねて、棟方自身による加筆修正の跡がびっしり。加筆が欄外でも収まらず用紙の裏側にまで及ぶもの、余白部分を渦巻くように一周する書き込みなど「作品制作と同じように、筆を執ると止まらなくなる自由奔放な棟方スタイル」(宮野春香・棟方志功記念館学芸員)が際立つ。独特の色彩感覚の原体験といわれる幼少期の大火、帝展初入選などの様子を描いた肉筆画、板画の挿絵も併せて展示している。
同記念館閉館に伴う資料整理で見つかった「板極道」口述筆記時の音声も公開されており、オープンリールテープに残されていた音声のうち、海外への旅の喜びを語る棟方の約8分の肉声を聞くことができる。
同記念館最後の企画展「板極道」も担当した宮野学芸員は「県美と一緒になったことで展示空間も広がり、内容も複合的で充実した形での展示が可能になった。没後50年の機会に改めて棟方の作品と人柄に触れる機会になれば」と話している。
弘前市出身の美術家奈良美智の展示室では、回顧展「The Beginning Place」(2023-24)で展示された学生時代の油彩「カッチョのある風景」が県美に寄贈され、新たにコレクションとして展示された。
また、戦前から戦後に活躍した今ヤヨ、橋本花の2人の女性作家による立像や油彩画、企画展「描く人、安彦良和」に関連し、1960年代に発表された美術作品を特集した展示など、幅広い作品が並ぶ。
コレクション展の入場料は一般700円、18歳以下は無料。問い合わせは同館(電話017-783-3000)へ。
1964(昭和39)年刊行の「板極道」は、画家を目指し上京した棟方が、民藝運動の指導者や支援者、妻チヤの支えで板画家として活躍する過程を口述筆記でつづった自伝。同市棟方志功記念館の閉館後、作品の展示・研究活動を引き継ぐ一般財団法人が、古書市場に出品された原稿51枚(62面)と挿絵となった板画12点、肉筆画13点などを昨年度購入。今回は原稿26枚、挿絵16点を紹介している。
原稿には、出版社側が口述を書き起こした文字に重ねて、棟方自身による加筆修正の跡がびっしり。加筆が欄外でも収まらず用紙の裏側にまで及ぶもの、余白部分を渦巻くように一周する書き込みなど「作品制作と同じように、筆を執ると止まらなくなる自由奔放な棟方スタイル」(宮野春香・棟方志功記念館学芸員)が際立つ。独特の色彩感覚の原体験といわれる幼少期の大火、帝展初入選などの様子を描いた肉筆画、板画の挿絵も併せて展示している。
同記念館閉館に伴う資料整理で見つかった「板極道」口述筆記時の音声も公開されており、オープンリールテープに残されていた音声のうち、海外への旅の喜びを語る棟方の約8分の肉声を聞くことができる。
同記念館最後の企画展「板極道」も担当した宮野学芸員は「県美と一緒になったことで展示空間も広がり、内容も複合的で充実した形での展示が可能になった。没後50年の機会に改めて棟方の作品と人柄に触れる機会になれば」と話している。
弘前市出身の美術家奈良美智の展示室では、回顧展「The Beginning Place」(2023-24)で展示された学生時代の油彩「カッチョのある風景」が県美に寄贈され、新たにコレクションとして展示された。
また、戦前から戦後に活躍した今ヤヨ、橋本花の2人の女性作家による立像や油彩画、企画展「描く人、安彦良和」に関連し、1960年代に発表された美術作品を特集した展示など、幅広い作品が並ぶ。
コレクション展の入場料は一般700円、18歳以下は無料。問い合わせは同館(電話017-783-3000)へ。
