【連載うまい森・味めぐり】町の看板 いまべつ牛/今別

いまべつ牛を育てる嶋中さん(右)。「アスクルのレストランに来るお客さんの中には、リピーターも増えているそうだ。うれしい話だね」

 津軽半島の北部に位置する今別町。緑濃い山々に囲まれた県道14号・今別蟹田線を北上すると、道路の左に大きな和牛の像が見えてくる。地元農家が手塩にかけて育てた黒毛和種「いまべつ牛」の里であることを知らせる立体看板だ。

 和牛産地として規模が小さい今別が一躍、全国の注目を集めたのは2004年のことだった。

 町内の畜産農家・嶋中真寿さん(49)が、肉用牛の肥育技術や枝肉の品質を競う全畜連肉用牛枝肉共進会の黒毛和種去勢牛の部で、最優秀賞(農林水産大臣賞・東京都知事賞)に輝いたのがきっかけ。30代半ばだった嶋中さんの快挙が、子牛生産が中心だった今別の畜産にブランド牛の肥育という道を開いた。

 16年に北海道新幹線・奥津軽いまべつ駅が開業。駅前には奥津軽観光の拠点として道の駅「いまべつ半島プラザアスクル」がリニューアル整備された。熱々でボリュームたっぷりのステーキなど、いまべつ牛はアスクルのレストランで看板商品となった。

 町内の肥育農家は嶋中さんを含めて2戸だが、農家らの有志グループが共同で肥育を委託し、いまべつ牛を各種イベントでPRしようとする動きも出てきたという。

 嶋中さんは「町外の飲食店などからの要望に応じられるように、肥育頭数を増やす基盤作りにも取り組まなければ」と話す。

<「新メニューの柱に」 中嶋久彰町長>

 いまべつ牛は、実際に食べてもらった方々から、とても高い評価を頂いています。

 何しろ、肉質等級がA5、脂肪交雑(霜降り度合い)がナンバー12と、共に最高基準の評価をされた生産技術があるわけですから、都内のイベントなどにも胸を張って出せる牛肉なんです。

 県外の有名な銘柄牛と比べても、決して劣らない品質ですが、町独自のブランドとしてPRしていくためには、差別化も大事だと思います。

 今別沖の津軽海峡ではサーモンの試験養殖が行われ、生産が軌道に乗りつつあります。いまべつ牛を柱にして地元のサーモン、さらにウニやモズクなども組み合わせたメニューの開発などで、町の魅力アップにつなげたいですね。

<躍動する郷土芸能「荒馬」 イベント続々 海峡の町>

 海・山の幸が豊富な今別町では、「ウニまつり」など旬の味覚を楽しめるイベントがいっぱい。各会場では躍動感あふれる郷土芸能「荒馬(あらま)」が祭りムードを盛り上げる。

 ▼津軽海峡今別産ウニまつり 6月23日(前10・00~後1・30、産直施設「なもわーも」ほか)▼荒馬まつり合同運行 8月4日(前11・00~後8・00、海峡さざなみ公園)▼いまべつ秋まつり 9月29日(前10・30~後3・00、いまべつ総合体育館お祭り広場)


今別町の各イベントで人気を集める郷土芸能「荒馬」

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