クラフトビール「蛍火醸造」 浅虫温泉に活気

浅虫温泉にクラフトビール醸造所を開設した丸山さん。施設内では、蔵出しの一杯を味わえる=青森市浅虫

 青森市の浅虫温泉に6月、クラフトビール醸造所「蛍火(けいか)醸造」がオープンした。製造を取り仕切る丸山桂多代表(46)=青森市=は、花火会社・丸山銃砲火薬店(本社むつ市)の3代目。新型コロナウイルス下、一念発起して畑違いの異業種に飛び込んだ。オープンから1カ月。温泉街では、蔵出しの一杯を楽しむ観光客が見られ、ビールが新たな観光資源として定着しつつある。

 3連休最終日の17日夕、青い森鉄道浅虫温泉駅そばの温泉街。醸造所軒先のウッドベンチで、青森市の会社員小川雄二さん(51)がグラスを傾けながら夕涼みを楽しんでいた。

 オープン後、既に2~3度訪れているといい「ビールはおいしいし、住んでいる青森(市中心部)から浅虫温泉まで、ちょっとした小旅行気分を味わえるのが楽しいね」と笑った。

 醸造するビールは、主力の「蛍火」、香り高い「パッション・ミューズ」など4種類。いずれも施設で味わえ、持ち帰りもできる。浅虫の地元客も立ち寄り、カウンターで隣り合った観光客に地元の名所を教える姿も。丸山さんは「醸造所が、旅行者と地元客をつなぐハブのような場所になれば」と話した。

 クラフトビールは麦芽やホップなどの量や質、加熱する温度、時間などの組み合わせで多彩な味が生まれ、その個性がファンを広げている。丸山さんもその魅力に引き込まれた一人だ。

 コロナ下の2020年2月、同市出身のクラフトビール醸造家・袴田大輔さんの起業セミナーを聞いたのがきっかけで、自身の醸造所を立ち上げようと動き始めた。「コロナ禍で各地の花火大会が中止になってしまい、勉強する時間はあった」(丸山さん)。袴田さんの遠野醸造(岩手県遠野市)などで修業を重ね、技術を身に付けた。

 浅虫に醸造所を構えたのは、地元の花火大会に長年携わっていたことに加え「観光地としてのポテンシャルが大きい」(丸山さん)と感じたから。コロナ流行を受けた国の補助金などで事業資金を調達。醸造用タンクといった輸入資材が円安で大幅値上げになるなどの逆風もあったが、醸造免許の取得を受け6月17日、念願のオープンにこぎ着けた。

 かつて多くの団体客が詰めかけた浅虫温泉だが、近年は不況や旅行スタイルの変化などで宿泊客が減少。温泉街は再生の途上にある。

 その中で住民らは、新たな観光スポットの誕生を歓迎。浅虫町会の阿部悠二会長(78)は「クラフトビールが浅虫温泉に新たなお客さんと活気を呼び込んでいる。頑張ってほしい」とエールを送る。

 「地元に応援してもらえるのはありがたいこと。仕事でしっかりとお返ししたい」と丸山さん。三戸町や佐井村などの県産ホップの活用や、地元の海鮮料理と合うビールの醸造など構想は尽きない。「浅虫にビール造りを根付かせたい」と力を込めた。

温泉街で「BEER」の看板が目を引く醸造所の建物

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