芸大日本画専攻生、春の八甲田をスケッチ

残雪の八甲田でスケッチする東京芸術大学の日本画専攻生ら

 東京芸術大学美術学部日本画専攻の2年生24人が今月中旬、青森県の八甲田周辺を訪れ、6日間にわたって恒例の写生会を行った。所々に広がる残雪に山桜、新緑の奥入瀬渓流と、多彩な顔を持つ八甲田をスケッチブックに切り取った。

 東京芸大(前身の東京美術学校含む)と言えば、東山魁夷、加山又造、平山郁夫ら著名な日本画家を輩出する国内最高峰の芸術教育機関。弘前市出身の日本画家工藤甲人も長く教壇に立った。写生会は昭和20年代から続いているが、今回学生を引率し、自身も三十数年前の学生時代に参加した海老洋准教授(53)によると、どういう経緯で八甲田・奥入瀬を巡る写生会が始まったかは不明。「きれいな風景をいかに作品化するかを現場で学ぶ有用な授業。ここで感動したことをいかに伝え、どんな個性的な作品ができるか、私自身も楽しみ」と期待する。

 「地獄沼そばのとんがった小高い丘や、赤沼付近のダケカンバを描いたことをよく覚えている」。八戸工大二高美術コースの非常勤講師で、創画会会員の小野定さん(71)=青森市=も50年前、同大学生の一人だった。「雪が解けて春を迎え、夏に向かって一つの生命がいぶく…。この時期の八甲田の姿が若い学生たちの写生にぴったり。澄んだ空気感をじかに触れてこそ、風景への思いはスケッチから絵にする中で昇華される」と話す。

 酸ケ湯温泉を起点に残雪に覆われた地獄沼や蔦温泉付近のブナの原生林を経て奥入瀬渓流へ。ポイントを見つけては、時間の流れが止まったかのような風景を黙々と描いていった。

 静岡県出身の柳桃子さん(22)は雪が残る猿倉温泉で三角屋根の宿などをスケッチ。「雲の動きも早く、さまざまな表情が見られるのが魅力的。自分が今後どんな絵を描き、どのような表現が合うのかを知る機会になるといい」と語った。

 酸ケ湯温泉では21日まで、昨年度の学生によるスケッチ作品など26点を展示。営業企画室の小野豊室長は「自然を守り続けることに誇りを持っているので毎年写生地に選んでいただけるのはうれしい。八甲田の良さをより深く分かって、さまざまな表現につなげていただければ」と話している。

酸ケ湯温泉で開かれているスケッチ展覧会

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