鯵ケ沢・大雨被災の居酒屋再開、絆の復活祭

テーブル脇に立ち、来店者をもてなす店主の葛西さんと“復活祭”を企画した田中さん(中央)=15日、鯵ケ沢町

 8月の大雨で被災した鯵ケ沢町の居酒屋が15日夜、約2カ月ぶりに営業を再開した。店主や青森県の若手漁師らとネットで交流している東京在住の青森県ファンが店を借り切って“復活祭”を企画。動画投稿サイトで生配信も行い、町をPRした。20~40代を中心に、平内町やつがる市などの漁師ら約20人が駆け付け、再出発を祝いながら絆を深めた。

 8月9日の水害で、JR鯵ケ沢駅前の居酒屋「良治」は、膝近くまで水が入り込み、冷蔵庫の更新や食材廃棄などを余儀なくされた。復活祭を企画したのは都内で建築関連会社を営む田中香織さん(49)。昨年6月、漁師の勇ましい肉体美を収めた県制作の「漁師カード」を知り、青森県ファンになった。ツイッターでお気に入りの若手漁師の情報を積極的に発信。縁が広がり、店主の葛西幸治さん(36)ら青森県関係者と交流している。

 15日は参加者による腕相撲やカラオケ大会などで盛り上がり、生配信の視聴者からも「楽しそう~」などと書き込みがあった。早くも3人の子育てを終えて孫もいる田中さんにとって、青森県のPRは「第二の人生の楽しみ」。大雨の1週間ほど前にも町を訪れており「水害に心を痛めた。この企画が鯵ケ沢の役に立てば、本当にうれしい」と語った。

 復活祭に参加した町地域おこし協力隊の中村亮介さん(27)=埼玉県出身=は「水害で町並みが変わってショックを受け、災害ボランティアにも参加した。町は復旧しつつあり、楽しい時間を過ごすいい機会」と笑顔。つがる市車力の漁師小枝哲さん(32)は漫画「北斗の拳」のキャラクターの仮装で登場し「鯵ケ沢を明るく盛り上げていけたら」と話した。

 葛西さんは東京で飲食業に携わった経験を生かして、5年前に故郷の鯵ケ沢で店を出し、地元食材を使った料理や地酒などを提供してきた。「水害で店はゼロの状態になってしまったが、多くの人に励まされた」と振り返り「早く再開したかったが、業務用の機器が手に入らなかった。ようやく再開し、いいスタートを切ることができた」と気持ちを新たにしていた。

浸水被害を受けた店内=8月10日(葛西さん提供)

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