山車制作大詰め 十和田秋まつり10日開幕

3年ぶりの出陣へ制作が進む上金崎町内会の山車=8月28日

 3年ぶりとなる「十和田市秋まつり」(主催・青森県十和田市、十和田商工会議所、十和田奥入瀬観光機構、協力・十和田青年会議所)が10日に開幕する。市中心部では十和田囃子(ばやし)の練習の音が各地で響き、山車の制作作業も大詰め。各団体は「子どもたちのため」「コロナ禍に負けない」とそれぞれの思いを込め祭りに向き合っている。

 今年の秋まつりは、例年19台が参加していた日中、夜間の山車運行は中止。代わりに今年山車を制作した7団体が日中、官庁街通りに山車を並べて出来栄えを披露する。山車の周囲で十和田囃子を演奏する時間帯も設けられている。

 あけぼの祭典委員会は、囃子の練習をお盆明けに本格化させた。囃子方には高校生以下の子どもたちが例年100人近く集まり同市随一の規模を誇るが、コロナ禍の今年は約50人に抑える。それでも東コミュニティセンター隣で夜に行われる練習では大太鼓6台、小太鼓10台を怒濤(どとう)の勢いでたたき、迫力ある囃子を奏でている。

 「コロナ禍の祭りに参加するか迷ったが、子どもたちと地域のために決めた。体で覚えた十和田囃子は大人になっても忘れない。子どもが地域を離れても、祭りの時だけでも戻ってきてくれるはずだから」と、会長の工藤文夫さん(70)は練習を見守る。

 山車制作も着々と進む。上金崎町内会の今年のテーマは「新・西遊記~悪事公正に奮闘」。伝統の歌舞伎ものを踏襲せず、退治ものに初めて挑む。新型コロナをはじめとする諸悪を「龍」に見立て、孫悟空一行が退治する構図だ。

 制作責任者の元木匡章さん(50)は「『十和田囃子競演会にどうしても出たい』と言う子どもたちのため、大人たちが『それなら山車もあった方が子どもたちの気分が盛り上がるだろう』と一肌脱いだ。山車の上で太鼓を思い切りたたかせてあげたい。作る以上は恥ずかしくない山車にしたい」と意気込んでいる。

 山車を制作、展示する7団体は次の通り。

 中央町内会わ組、上金崎町内会、あけぼの祭典委員会、西十一番町町内会、南町内会祭典委員会、並木祭典会連合会、相坂上祭会

▼2日間に短縮 山車は展示のみ

 3年ぶりに開かれる今年の十和田市秋まつりは、新型コロナウイルス感染対策のため期間を従来の3日間から短縮し、10、11日の2日間となる。山車運行の中止に代わり実施する「山車展示」は官庁街通りで2日間とも午前10時~午後4時で、このうち午後2~4時の時間帯は山車周辺で十和田囃子(ばやし)の演奏が行われる。

 山車審査は「山車市長賞」のみとし、運行や囃子が関係する賞の審査は行わない。

 官庁街通りの中央駐車場に特設ステージを設け「十和田囃子競演会」などのステージイベントを行う。今年の競演会はこれまでの高校生以下の部に加え、一般の部も実施する。

 露店は例年の100店舗以上から約30店舗に厳選。コロナ感染拡大防止のため、販売・飲食場所は中央駐車場付近と十和田保健センター付近の特定エリアに限定する。

十和田囃子の練習に励む、あけぼの祭典委員会の子どもたち=8月27日夜

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