金山焼に滞在、新作挑む 宮城の美術家工藤さん作品展

7月末から津軽金山焼に滞在し作品制作に励んでいる工藤さん=10月26日

 現代美術家の工藤玲那さん(26)=宮城県出身=が、青森県五所川原市の津軽金山焼(松宮亮二窯元)に7月から滞在し、創作活動に励んでいる。津軽金山焼の粘土と青森県で採取した石を融合させた立体造形を、20日から同所で開く作品展で披露する。

 10月末、津軽金山焼の敷地内にある住居付き工房には工藤さんが制作を進める大型の立体作品が並んでいた。津軽地方の伝統行事「虫送り」で使われる巨大なムシ人形や散歩の途中で目に留まった造形物などから着想を得たもので、今後粘土に石やガラスを組み込み、焼き締めるなどして完成させる。

 石は同市や鯵ケ沢町、今別町の海岸を歩いて集めた。「錦石に代表されるように、青森の石は有名。海岸にある石でも模様や色が他地域と全く違う」とうなずく。作品に石を使用するのは今回が初めてという。むつ市の恐山を訪ね、「川が、あの世とこの世の境界になっているというのが新鮮だった。石は川を想起するものとして使う。石の可能性が広がった」と手応えを語る。

 工藤さんは2~3カ月おきに生活拠点を変えながら作品を作り上げるスタイル。山形県内の芸術大学を卒業後、同県や滋賀県、韓国、インドネシアなど国内外の施設内で滞在制作をしてきた。青森県は「石や土壌、地形、文化に興味があって長年来たかった」と熱望してきた地。昨年に来県予定だったがコロナ禍で1年延期。7月末にようやく津軽金山焼で制作に取り掛かった。

 苦労しているのは粘土の扱い方。これまでは作りやすいよう化学的に調整された粘土を使ってきたが、津軽金山焼ではため池から採れた自然素材の粘土を使う。「十分に乾燥させないと割れる。自分の想像通りにいかないのが面白い」。失敗を重ねながら充実の日々を過ごしている。

 作品展は30日まで。写真作品も展示する。

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