青森県十和田市の紅葉の名所・蔦(つた)沼周辺の交通渋滞対策や環境保全などを目的に、初の試みとなる展望デッキの入場制限が22日、始まった。同市、県、環境省などでつくる十和田湖周辺交通渋滞対策協議会が27日まで実施。初日の早朝デッキ入場者は88人で、懸念された周辺の路上駐車はなかったという。

 22日午前4時、蔦温泉駐車場が開場。抽選を経た入場者たちは同5時ごろまでにデッキで撮影場所を決め、日の出まで約1時間待った。秋の蔦沼は朝焼けに照らされ赤く染まる木々が見どころ。この日は曇りだったが、鏡のように澄んだ水面に木々が映り込み、入場者たちがシャッターを切った。東京都から来た女性(79)は「紅葉をこんなにゆったり楽しめるなら、入場制限を続けてもいいのでは」と話していた。

 昨年までは、早朝のデッキ入場者は300人に及ぶこともあったというが、22日の来場予定者は事前に124人に抑えられた。関係者は「天気予報が曇りだったため88人にまで減ったのでは」と推測する。

 早朝入場の予約は今月4日で締め切り、申込数は480件。うち185件が当選し、事前に協力金が1件当たり4千円納付されている。十和田八幡平国立公園管理事務所の安藤巖乙(いわお)・国立公園利用企画官は「初日はスムーズだったが、朝焼けが見られる日は入場者が増える」と気を引き締める。蔦沼周辺の紅葉の見ごろは24~27日ごろの見通し。

 新型コロナウイルス感染防止のためデッキは3区域に分けられ、入場前に通知した。市商工観光課の蛯名定信課長は「安心して訪ねてもらえるよう万全の対策を取っている。観光客の皆さまにも個人でできる最善のコロナ対策をお願いしたい」と話した。

 一方、今回の試みは決定から実施まで1カ月しかなく、県内外の写真家や自然愛好団体から「急すぎる」と苦情が出ている。

蔦沼展望デッキで紅葉にカメラを向ける入場者たち。例年のような大きな混雑はなかった=22日午前6時20分ごろ

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