津軽中里駅「駅ナカ」で吉田チャンコ食堂再開

火災からの再起を期し、駅ナカにぎわい空間でチャンコ食堂を再開させた吉田さん

 青森県中泊町の津軽鉄道・津軽中里駅に隣接する「駅ナカにぎわい空間」に4月開店した「吉田チャンコ食堂」が11日、営業を再開した。同食堂は津軽中里駅近くで50年にわたり営業していた老舗だったが、2年前の火災で焼失。駅ナカ空間の空きスペースを利用して再出発した直後、新型コロナウイルスの影響で休業を余儀なくされた。休業が開けた11日、店主の吉田文義さん(52)は「もう一度、食堂の味を味わってほしい」と再起を誓った。

 駅ナカ空間は、津鉄や町などが委員会を組織して管理・運営している。同所を拠点にしていた「金多豆蔵(きんたまめじょ)応援隊の会」が3月末で活動を中止し、飲食・軽食コーナーがない未利用空間となったため、同委員会が利用先を募集したところ吉田さんが名乗りを上げた。

 吉田チャンコ食堂は、吉田さんの祖父が約50年前に始めた総菜屋が皮切り。その後、父親が食堂に衣替えした。店名の「チャンコ」は、カウンターと小上がりだけの狭い店で、小さいを意味する「ちゃっこい」がなまったものだという。

 吉田さんは高校卒業後に調理師の資格を取り、30年ほど前から父と食堂を切り盛り。肉厚のかつ丼やこだわりスープのラーメンがテレビ番組に取り上げられ、名の知られた店だったが2018年3月の火災で店が全焼した。「道具もレシピも焼け、80歳を過ぎた父はリタイア。店を出すかどうか迷い続け、この2年は出前だけ受けてきたが、ここが空くと聞き、もう一度やってみようと思い立った」と吉田さんは話す。

 4月21日の再出発後、新型コロナの感染拡大防止で全国的な外出自粛や休業要請が出たことを考慮し、29日から休業した。「2年のブランクで不安もあったし、新しい調理場に体を慣らす意味でも今回の休業は気にならなかった」。営業を再開した11日、妻征子さん(43)と店に立った吉田さんは「チャンコ食堂が再開したことを少しでも多くの町民に伝えたい。名物料理も自慢料理も失ったが、自分の料理をおいしく食べてもらえば満足」と笑顔を見せた。

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