【連載うまい森・味めぐり】一本釣りマグロに誇り/大間

東京・豊洲市場の初競りで史上最高値を付けた大間マグロと木村社長(中央)=1月5日

 マグロといえば大間、大間といえばマグロ。今年も新年の食卓で全国の話題をさらったのは、東京・豊洲市場の初競りで3億3360万円という史上最高値が付いた大間産クロマグロ(重さ278キロ)だった。黒いダイヤとも呼ばれる大間マグロだが1キロ当たり120万円、1グラム1200円とは、まさに宝石並みだ。

 競り落としたのは、すしチェーンと水産物卸を手掛ける「喜代村」(本社東京)。マグロ大王を自任する木村清社長は「太り方も鮮度も抜群。漁師さんに感謝したい」とコメント。大物を仕留めた大間町の漁師・藤枝亮一さんは「一本釣りにこだわってきて良かった」と喜んだ。

 大間産が初競りで最高値を付けたのは8年連続。町内では解体ショーなどのイベントが活発化し、急速冷凍設備を持つ飲食店も増えた。マグロの漁法にはさまざまあるが、本州最北端の町で「マグロ一本釣りの町」という文字が、やけに目立つのは何故だろう。

 「一本釣りっていうのは、漁師が持ってる力と技を全部使って、それでマグロに選ばれるようなものなのさ。だから、自然との向き合い方として、漁師以外の人間も誇りに思ってるんだよ」

 マグロ一筋テーシャッツ販売など、まちおこしゲリラ活動で知られるYプロジェクト代表取締役の島康子さんが漁師町の心意気を教えてくれた。

▼「天妃様行列、大間牛も」/金澤満春町長

 一本釣り漁師が伝統を守ってきた大間マグロは、私にとっても誇りです。青函トンネル(1988年開通)の工事の前後、マグロが回遊しなくなった時期もありましたが、町を支える大きな存在になっています。

 毎年の初競りで大間マグロが注目されるようになり、若い後継者が育っています。保育園に通う子供たちからも「マグロ漁師になりたい」という声を聞きます。

 町内の稲荷神社には中国ゆかりの海の守り神・天妃(媽祖(まそ))様がまつられ、毎年7月に大漁祈願祭・天妃様行列が行われます。海のマグロと並ぶグルメとして売り出し中の「陸マグロ(大間牛)」も好評ですので、多くの方に個性あふれる本州最北の地・大間へ来ていただきたいですね。

▼海の恵み豪快に ブルーマリンフェス

 毎年8月14日に大間港で開かれる「ブルーマリンフェスティバル」は大間町の海の恵みを満喫できる名物イベント。豪快なマグロ解体、振る舞いのほか、多彩な催しが用意され、県内外から訪れる大勢の観光客でにぎわう。

 手漕ぎの磯舟レースや、異国情緒あふれる「天妃様行列」、歌謡ショーや花火大会などが盛りだくさん。臨時駐車場からフェス会場までの無料シャトルバスも運行される。問い合わせは町産業振興課(電話0175-37-2111)へ。


来場者に大人気の大間マグロ解体ショー

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