願い込めた紙風船、夜空に舞い上がる 昨夏の大雨乗り越え、仙北市上桧木内地区

 秋田県仙北市西木町上桧木内地区の小正月行事「紙風船上げ」が10日夜、市紙風船館隣の紙風船広場で行われた。地区は昨年8月の記録的大雨で甚大な被害を受けており、住民らが復興を支えてくれた人たちへの感謝や、1年の平穏などの願いを込めて作った約60個の紙風船が夜空に舞い上がった。上桧木内紙風船上げ保存委員会の主催。

 住民はガスバーナーで熱風を送って高さ約6メートルの紙風船を膨らませ、空気の入り口に取り付けた布玉に火を付けた。午後6時のカウントダウンに合わせて手を離すと、武者絵や美人画などが描かれた紙風船がゆっくりと浮いた。

 被災後、地区には県内外から多くのボランティアが駆け付けた。13戸のうち半数が浸水した宮田集落は「ボランティアの皆さん ありがとうございました」と書いた紙風船を飛ばした。集落の会社員斎藤雄馬さん(48)は「助けてくれたボランティア、地域の人たちのおかげで今がある。紙風船を通し感謝を伝えられてよかった」と話した。

 ボランティアらが復興を願うメッセージを書いた紙風船も空を舞った。保存委員会は炊き出しが行われていた地区の交流施設「山鳩館」に自由に書き込める紙風船を置いており、「一緒に頑張りましょう」「応援しています」などと寄せられていた。

 ボランティアに参加した秋田市の布施大地さん(41)も会場を訪れた。被災後に地区を訪れた際は泥や木が積み重なっていた広場が、この日は多くの人でにぎわった。復興へ歩みを進めている様子を目にし、「二度と昨年のような災害が起こらないように」と願いを込めて、上がっていく紙風船を見守ったという。

 保存委員会の阿部明雄会長(68)は大雨に加え、今冬は大雪や停電が続き、開催の可否が心配される状況が続いていたとし、「無事開催でき感無量」と笑顔をのぞかせた。「年に一度のお祭りで、地域のコミュニケーションの場でもある。災害が起きても力を合わせて何とかできた。また来年も頑張ろうという気持ちになった」と語った。

 紙風船上げは、五穀豊穣(ほうじょう)や無病息災、家内安全を祈る小正月行事。かつては集落ごとに行われ、戦時中に途絶えたが、約50年前に復活。やがて観光行事として開く現在の形になった。

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