[制作]作業場被災も力合わせ 舞い上がれ紙風船、上桧木内・宮田集落の半年(中)

下書きした絵に色を塗る住民。ドライヤーで乾かしながら作業を進めた=今年1月11日
 秋田県仙北市西木町上桧木内地区で毎年2月に行われる紙風船上げ。武者絵や美人画、七福神などが描かれた紙風船が夜空に打ち上げられる。例年は12月ごろから地区の8集落で制作が始まり、住民は平日夜や週末を中心に集まり作業を進める。

 宮田集落は今回、作業場を探すことから行わなければならなかった。昨年8月の記録的大雨でこれまで作業場としてきた市紙風船館が浸水し、使えなくなったのだ。

 紙風船は高さ約5・5メートル、幅約2・7メートル。制作には広いスペースが必要になる。そこで住民で話し合い、最初の和紙の裁断や下書きなどは旧上桧木内小学校、色塗りは以前に作業場としていた集落の会館を使うことにした。


 うっすらと雪が積もり始めた12月上旬。どうにか例年と同じ時期に紙風船作りに着手できた。まずは白い和紙を裁断して貼り付け、風船の側面部分を作る。集まった7人が息を合わせ、しわができないように丁寧に貼り合わせていった。

 慣れた手つきで作業に当たる一人には、桧木内小5年の上野里和さんがいた。3年生の頃から親と共に参加しているといい、「若い人が少なくなってきたから、少しでも力になりたい」と目を輝かせていた。

 下書きに移ると、和紙にプロジェクターで文字や絵を投影させて鉛筆でなぞった。紙風船館では高い位置から縦につり下げて下書きしたが、代替とした旧上桧木内小の体育館では横向きにせざるを得なかった。最初は「文字が書きにくい」との声もあったが、次第に慣れたようだった。

 ◇  ◇

 会館での色塗りは12月中旬から開始。住民たちは見本を見ながら仕上げていった。大雨被害の復旧を支えてくれた人たちへの感謝を込め、紙風船にはボランティアが着用していたビブスを描いたり、感謝のメッセージを記したりもした。

 紙風船は集落によって作り方が違うといい、宮田集落では色塗りに使うポスターカラーに酢を混ぜるのが特徴。ベテランの佐々木はつ子さん(67)は「昔は色の配合がうまい母さんたちがいた。みんな子どもたちに夕飯を食べさせてから会館に集まって色塗りをしていた」と懐かしんだ。

 作業を進める中でアクシデントもあった。今年に入り、上桧木内地区では雪の重みによる倒木でたびたび停電が発生。紙風船の作業日の1月11日も停電となっていた。冷え込む中、非常用発電機でストーブがつくと、住民たちはほっとした表情を見せていた。


 紙風船館は床暖房が整備されていたため、色塗り後も乾きやすかった。しかし、今回は佐々木良さん(75)らがドライヤーで風を当て、地道に乾かした。良さんによると、紙風船館を使う前は、集落の理髪店のドライヤーを借りて乾かしていたという。

 大雨被害の爪痕が残りながらも、住民たちは底力を発揮。工夫を凝らして準備を進めた。

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