青森県十和田市の法量地区に大正・昭和の薫り漂うカフェがある。親子4代が暮らした、今年で築約98年の古民家を改修した店舗。代々使われた家具や往時のポスターが店内を彩る。看板メニューは母の味を再現した「五目おこわ御膳(ごぜん)」。同地区出身で、開店を機に八戸市から十和田市に移り住んだ店主の椿千鶴さん(63)は「地域に愛される店になりたい」と話す。
黒光りする太い柱。高い天井に何層にも交わる重厚な梁(はり)と桁。部材にケヤキをぜいたくに使った室内は、座敷など奥の部屋も開放され、広々と感じられる。「幼いころ、母が梁にロープをさげてブランコを作ってくれました」と椿さん。
店の名は「大正・昭和ロマン喫茶 段ノDe」。店舗周辺の地名「段ノ台(だんのだい)」を地元では「だんので」と呼ぶことにちなむ。八戸でスナックも営む椿さんが実家を改修し、2023年4月にオープンした。雨戸をサッシに張り替えた縁側にもテーブルを置き、全部で20席ほどある。
家は、1861(幕末・文久元)年生まれの曽祖父が1927(昭和2)年に建てた。住んでいた椿さんの両親が施設に入所し、コロナ禍でスナックを開けられなくなった椿さんが八戸から通いながら片付けていた。若い時から抱いていた「何とかして家を残したい」との思いを、国の補助金を活用して形にした。
オープンに当たっては、裏2階にあった明治時代のポスターや大正時代の新聞の付録、祖母らが使っていた家具などもインテリアとして利用。自身が中学の時に読んでいた漫画本や雑誌も並べている。BGMはフォークや歌謡曲など昭和のヒットソングだ。
メニュー開発でこだわったのが「お祝いの時とか、お客さんが来た時に食べた母の思い出の味」のおこわ。野菜の煮物や鶏の唐揚げ、サラダ、茶わん蒸しなど十数品の料理を盛り合わせて御膳とし、1日15食ほどの限定で出している(税込み1700円)。
もう一つ、店の特色を出したいと取り組んだのが発酵あんこ。砂糖を一切使わず、濃縮した甘酒を入れて甘みを加えている。これをたっぷり塗った「発酵あんこトースト」には果物とドリンクが付く(同1100円)。
米や野菜などの食材は近くの農家や市内の道の駅から調達。冬場は店を閉めるが、「その間におこわの冷凍食品を開発して販売に道筋を付けたい」と椿さん。オープンから1年4カ月。食の奥深さと面白さを感じ、「地域の農業を大事にしたい。この建物を生かして地産地消に貢献できれば」との思いを温める。
月・火曜日定休。問い合わせは同店(電話0176-72-2061)へ。
黒光りする太い柱。高い天井に何層にも交わる重厚な梁(はり)と桁。部材にケヤキをぜいたくに使った室内は、座敷など奥の部屋も開放され、広々と感じられる。「幼いころ、母が梁にロープをさげてブランコを作ってくれました」と椿さん。
店の名は「大正・昭和ロマン喫茶 段ノDe」。店舗周辺の地名「段ノ台(だんのだい)」を地元では「だんので」と呼ぶことにちなむ。八戸でスナックも営む椿さんが実家を改修し、2023年4月にオープンした。雨戸をサッシに張り替えた縁側にもテーブルを置き、全部で20席ほどある。
家は、1861(幕末・文久元)年生まれの曽祖父が1927(昭和2)年に建てた。住んでいた椿さんの両親が施設に入所し、コロナ禍でスナックを開けられなくなった椿さんが八戸から通いながら片付けていた。若い時から抱いていた「何とかして家を残したい」との思いを、国の補助金を活用して形にした。
オープンに当たっては、裏2階にあった明治時代のポスターや大正時代の新聞の付録、祖母らが使っていた家具などもインテリアとして利用。自身が中学の時に読んでいた漫画本や雑誌も並べている。BGMはフォークや歌謡曲など昭和のヒットソングだ。
メニュー開発でこだわったのが「お祝いの時とか、お客さんが来た時に食べた母の思い出の味」のおこわ。野菜の煮物や鶏の唐揚げ、サラダ、茶わん蒸しなど十数品の料理を盛り合わせて御膳とし、1日15食ほどの限定で出している(税込み1700円)。
もう一つ、店の特色を出したいと取り組んだのが発酵あんこ。砂糖を一切使わず、濃縮した甘酒を入れて甘みを加えている。これをたっぷり塗った「発酵あんこトースト」には果物とドリンクが付く(同1100円)。
米や野菜などの食材は近くの農家や市内の道の駅から調達。冬場は店を閉めるが、「その間におこわの冷凍食品を開発して販売に道筋を付けたい」と椿さん。オープンから1年4カ月。食の奥深さと面白さを感じ、「地域の農業を大事にしたい。この建物を生かして地産地消に貢献できれば」との思いを温める。
月・火曜日定休。問い合わせは同店(電話0176-72-2061)へ。