長部日出雄さん遺品 古里・弘前の文学館に

弘前市立郷土文学館に寄贈された長部さんの直筆原稿や愛用の帽子など=14日

 青森県弘前市出身の直木賞作家・長部日出雄さん(享年84)の遺族が14日までに、長部さんの直筆原稿や愛用の帽子など遺品約千点を弘前市立郷土文学館に寄贈した。同館の企画研究専門員・櫛引洋一さん(68)は「郷土を愛した長部の貴重な品々ばかり。大切に活用したい」と説明。同館は、12月2日から長部さんの原稿や愛用の帽子、執筆時に使っていた鉛筆を展示し、業績を紹介するスポット企画展を行う。

 力強くきれいな鉛筆の文字が刻まれた、長部さんの直筆原稿の数々。筆致からは津軽を愛し、人間の在り方を深く追求した作家の息遣いが伝わってくる。

 寄贈で中心的な役割を担ったのが、長部さんのめいの村林美智子さん(72)=青森市在住。3年前に長部さんの妻・真知子さんから「自宅に(長部さんの)著書がたくさんある」と電話で聞いたのがきっかけだった。

 新型コロナウイルスの感染状況が落ち着きを見せ始めた昨年夏、村林さんは東京都世田谷区の長部さんの自宅マンションへ。「このままにしておくのはもったいない」と考え、保存と活用に向けて他の親族とも協力し、著書や映画の台本など計2千点に上る遺品の引き取りを、長部さんの母校の弘前高校や早稲田大学図書館のほか、世田谷文学館などに働きかけた。

 村林さんは以前から交流があった櫛引さんにも打診。収蔵場所の都合もあり原稿ならば引き受けられる-との返答を受け、丁寧に保管されていた原稿など、遺品の半数超の寄贈が決まった。

 青森県出身作家の企画展を数多く開いてきた櫛引さんによると、著名な作家であっても、死後に遺族が遺品を廃棄してしまうこともあるといい「村林さんたちの熱意に感謝したい」。

 真知子さんは「うずもれていた遺品を受け取ってくださり本当にありがたい。夫・日出雄も喜んでいると思います」とコメントを寄せた。

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 <おさべ・ひでお 1934年弘前市生まれ。弘前高校卒、早稲田大学第一文学部中退。57年、読売新聞社に入社し週刊誌記者として活躍。その後、執筆活動に力を入れ、73年に不世出の天才民謡歌手「嘉瀬の桃」を描いた小説「津軽世去れ節」「津軽じょんがら節」で直木賞作家に。評論活動や映画製作などでも精力的に活動した。2003年に東奥賞受賞。11年の第1回から17年の第4回まで東奥文学賞の選考委員を務めた。18年、虚血性心不全のため84歳で死去>

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