喫茶店「DUG」9月閉店 48年の歴史に幕/板柳

「お客さんに感謝」と話す奈良さん夫妻と常連客の秋庭さん(左)=6月29日

 青森県板柳町役場のすぐそばにある喫茶店「DUG(ダグ)」が9月いっぱいで閉店する。店主の奈良斎(ひとし)さん(71)が23歳で開店してから48年。レトロな雰囲気の店内と、ナポリタンなどの昔ながらのメニューが地域住民に愛されてきた。奈良さんは「前々から70歳で一区切りと考えていた。やるだけやった」とさっぱりとした表情で話す。

 鶴田町出身の奈良さんは板柳高校を卒業後、家業の農業を手伝い、時間ができると東京で過ごした。ジャズが流れる新宿の喫茶店に出合い、古里で自分も同じような店を開こうと決めた。

 1975年、現店舗の2階に開店。ジャズが流れる新宿の喫茶店と同じ店名にした。2年後に1階に移転。暖色の薄暗い照明や木製の椅子など、昭和時代の雰囲気を残す店内は今も変わらない。ナポリタンやミートソース、カレー、ハンバーグなど人気メニューは多く、価格も財布にやさしい設定で町職員や農家、学生らに愛され続けた。

 アルバイトを雇った時期もあったが、20年ほど前からは奈良さんと妻・あい子さん(69)の2人で切り盛りしてきた。70歳となった昨年、奈良さんは1年後に不動産業者との賃貸契約が切れるのに合わせて、店を閉じることを決断した。材料費や光熱費の高騰も閉店の要因の一つだという。

 6月29日、奈良さんの高校の同級生で、ダグで妻と出会ったという佐藤修一さん(71)=板柳町=は「開店当初から通い、ダグと共に生きてきた。寂しい」と閉店を惜しんだ。常連客の自営業秋庭文人さん(53)=同町=は「低価格で話しやすい雰囲気も好き。2人には『お疲れさまでした』と言いたい」とねぎらった。

 閉店まで残り3カ月。「お客さんと話をする機会が減るのは寂しいけど、ここまでやれてお客さんにただただ感謝」とあい子さん。奈良さんは「好きなことを仕事にできて48年間、楽しかった。これからはゆっくり暮らし、ジャズフェスティバルなどに行ってみたい」とほほ笑む。


9月末で閉店する喫茶店「DUG」=板柳町板柳

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