結婚期の太宰、作風明るく 斜陽館で年間特別展 7作品紹介

年間特別展をPRする白川学芸員

 青森県五所川原市金木町の太宰治記念館「斜陽館」は1日から年間特別展「太宰治~甲府から三鷹へ~」を開催している。太宰が石原美知子と結婚し、家庭人として歩み始めた甲府時代から三鷹時代の作品を取り上げ、パネルで展示している。

 太宰は1938年、山梨県南都留郡川口村(現・河口湖町)御坂峠に滞在。師と仰いだ井伏鱒二の紹介で美知子と出会い、39年に結婚した。甲府市で新婚生活を始め、その年、東京府三鷹村(現・東京都三鷹市)に転居している。

 米蔵前のスペースで行われているパネル展では「富嶽百景」や「畜犬談」など7作品の一部を抜粋し、紹介している。同時期の太宰の書簡や、後年美知子が出版した手記も引用して展示。小説と実際の出来事をリンクさせることで、太宰の生活や心境をより深く知ることができる。

 同館の白川雅子学芸員は「展示しているのは結婚し、家庭を持った頃の太宰の作品。作風も明るいものになっていき、この時期に作家としての円熟期を迎える。多様な太宰中期の作品をぜひ読んでほしい」と話している。

 特別展は2024年3月20日まで。

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