弘前城雪燈籠まつり 陸自、大雪像作り半世紀

大雪像造りを進める隊員ら。左は葛西さん

 陸上自衛隊弘前駐屯地は、弘前城雪燈籠(どうろう)まつりに1977(昭和52)年の第1回から参加し、祭りの主役である大雪像を毎年制作してきた。歴史的建造物を細部まで本物そっくりに制作する技術は、歴代の隊員たちが半世紀近くかけて磨き上げ、引き継いできた。隊員たちは「雪像造りを通じて市民とふれ合い、感動を与えられるのはうれしい。通常の任務と違うやりがいがある」と話し、9日のまつり開幕に向けて仕上げ作業に取り組んでいる。

 「ここが少しくぼんでるな」「(地面との)垂直が取れているか確認お願いします」。3日午後、大雪像を雪や日差しから守るブルーシートの中で、隊員たちは声をかけ合いながら作業を進めていた。表情は真剣そのもの。休憩を早めに切り上げ、出来栄えを再チェックする隊員もいた。

 今年制作するのは旧函館区公会堂(北海道函館市)。隊員66人が約1カ月かけ、実物の3分の1に当たる高さ6メートル、幅15.5メートル、奥行き4メートルの大雪像を造る。

 足場を組んで巨大な雪の塊を造り、チェーンソーで大まかにカット。ちょうな(手持ちの鍬=くわ=状の道具)、のみなどを使って、複雑な構造や細かな装飾まで丁寧に仕上げていく。壁面の凹凸をなくしたり、軒などの飛び出た部分が折れないようにするのが一苦労だ。

 実物により近づけるため、本物の図面を取り寄せて寸法を計算し、定規や水平器を使ってゆがみが出ないようにする。遠目で分からないくらい細かな部分の仕上がりも、全体の見栄えに大きく影響するため、手は抜けないという。

 作業隊班長の葛西孝治陸曹長(45)=板柳町出身=は「気温が高いと縮み、湿度が高いとくっつきやすいなど雪の性質を考えながら作業しているが、実際にやらないと身に付かない感覚がある。初めての隊員にはベテランがついたりして、ノウハウを伝えている」と語る。

 大雪像制作は、地域の行事などに協力する自衛隊の「民生支援活動」の一環。これまで、パリの凱旋(がいせん)門や旧弘前市立図書館などを造ってきた。葛西さんは「去年はコロナ禍でまつりが中止。今年こそは、という思いがある」、今年初参加した若松泰成陸士長(22)は「細かい作業が多く大変。疲れがたまってきたが、集中を切らさず頑張りたい」と語った。

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