青森のジャズ喫茶「disk」5月8日に幕

慣れた手つきでレコードをかけるオーナーの鳴海廣さん

 1972年の開業以来50年にわたり、青森県ジャズシーンの中心にあった青森市新町の老舗ジャズ喫茶「jazz time disk(ジャズ タイム ディスク)」が、5月8日の営業で閉店する。オーナー鳴海廣(ひろし)さん(86)のけがによる体調不良で3月から休業中だが、全国のファンに思い出を残したいと、今月16日から週末を中心に店を開けることにした。廣さんは「いろんな人たちに会えると思うと楽しみで、さみしさはない」と気丈に話す。

 63年、同市新町に小さなレコード店を開いた廣さんが、同市古川にジャズ喫茶を開店したのは72年。移転を経て80年に現在の同市柳町通り沿いに店を構えた。

 廣さんの膨大なレコードコレクションと相まって、diskはジャズや音楽好きに広く知られる存在となり、全国のマニアも訪れるように。また廣さんのプロモートで来日した名だたる世界のアーティストが来店することもあったという。中でも廣さんの思い出に強く残っているのが、85年に青森市でライブを行った米国の黒人女性ジャズシンガー、サラ・ボーンが店にやってきたこと。「サラが店に入って来た瞬間、お客さん方はただただ拍手。夢が実現した瞬間だった」

 廣さんは他にも旧南郷村(現・八戸市南郷)の「南郷サマージャズフェスティバル」でプロデューサーを務めるなど、国内ジャズ界の発展に尽くしてきた。

 先月、自宅で転倒して肋骨(ろっこつ)を折った廣さんは体調を崩し、3週間ほど入院。体力の低下を感じ「店をまた開けたとしても続けられないのではないかと思った」と閉店を決めた思いを口にした。ただ「これで終わりではない」とも。「自宅の大量のレコードなど整理したい物もたくさんあるし、記録も書き残したい。お世話になった人に恩返しもしたい。転職するような気持ちで新しいことに挑戦したい」と目を輝かせる。

 最終営業期間は市内で空手道場を営む息子の沖人さん(51)ら家族や常連客が手伝い、廣さんもできるだけ店にいるという。沖人さんは「diskが青春の場所だと言ってくれる人が多く、店を突然閉めることはできない。思い出がある人たちに良い時間を過ごしてもらい、明るく閉幕を迎えたい」と話した。営業日は4月16、17、23、24、29、30日、5月1、2、7、8日の計10日間で、午後6時開店、同10時まで。

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