種村氏の書斎を再現したコーナーに見入る来場者=13日、五所川原市津軽飯詰駅

 青森県五所川原市の津軽鉄道・津軽飯詰駅構内に13日、鉄道書籍や資料の展示コーナーが開設された。鉄道作家・故種村直樹氏(滋賀県出身)の書斎に保管されていた約3千冊が並ぶほか、種村氏の書斎が再現展示され、初日は関係者や鉄道ファンでにぎわった。

 名称は「レイルウェイ・ライター種村直樹 『汽車旅文庫』」。津軽飯詰駅の記述がある種村氏の鉄道紀行エッセー「気まぐれ列車」シリーズや代表的な著書「鉄道旅行術」、ルポを長年掲載してきた雑誌「鉄道ジャーナル」は創刊号からそろう。

 一角には種村氏が使用していた机と椅子を設置し、数々の著作を生み出してきた書斎を再現。生原稿を見ることもでき、鉄道ファン垂ぜんの展示内容となっている。

 2014年の種村氏の死後、長女・伏見ひかりさん(54)=埼玉県=や種村氏の読者の会のメンバーらが連携し、書斎に残った多くの蔵書を後世に残そうと全国数カ所の鉄道関連施設に寄贈。関係者を通して縁があった津鉄には1月に段ボール100箱分の書籍や机が届き、飯詰地区の住民グループ「飯詰を元気にする会」(岡田千秋会長)が東北職業能力開発大学校青森・秋田校の協力を得て展示準備を進めてきた。

 津鉄全線開業91周年を迎えたこの日、同駅で開いた開設記念式には全国各地からファンら約70人が集結。伏見さんは「多くの支援のおかげで素晴らしい駅に展示してもらえた」と感謝。津鉄の澤田長二郎社長は「汽車旅文庫がたくさんの人の出会いの場となり、長く愛されることを願う」と期待した。

 種村氏の次女・良知(らち)こだまさん(49)=横浜市=は、再現された書斎を見ながら「父が座って原稿を書いているのが目に浮かぶ。時間を忘れて汽車の世界に浸れる空間になればうれしい」と語った。

 展示コーナーは当面、第3日曜日に開館。今後、開館頻度を増やす予定。

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 <たねむら・なおき 1936年、滋賀県大津市出身。京都大卒業後、毎日新聞社記者として国鉄などを取材し、73年にフリーに転身。「レイルウェイ・ライター」を名乗り、汽車旅をテーマに執筆活動を行う。鉄道に関する質問を手紙で受け付けるなど読者との交流を重視し、74年には読者の会「種村直樹レイルウェイ・ライター友の会」が結成された。2014年、78歳で死去>

「汽車旅文庫」開設を記念し写真に納まる伏見さん(前列右端)、良知さん(同右から2人目)ら関係者

五所川原市

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