【連載うまい森・味めぐり】香り立つフルーツ王国/南部町

町特産の洋ナシ「ゼネラル・レクラーク」をはじめリンゴ、ブドウなどが並んだ「なんぶふるさと物産館」。町内加工グループの手作り菓子やパンも人気

 緑豊かな名久井岳から丘陵地帯が連なり、馬淵川沿いに、のどかな田園風景が広がる青森県南部町。国道沿いのあちらこちらに果物をデザインしたカラフルな看板やのぼり旗が立ち、店先に並ぶリンゴやブドウ、ナシの香りが食欲を誘う。まさに「フルーツ王国」という言葉がぴったりだ。

 山間地ならではの寒暖差、馬淵川によって運ばれた肥沃(ひよく)な土が、甘味たっぷりの果物を育む。タレントの黒柳徹子さんが戦時中に同町相内に疎開したのも、諏訪ノ平駅の近くで汽車に乗り合わせたリンゴ農家との交流がきっかけだったという。

 町の果樹生産額は2017年で36億6千万円。畜産を除いた農業生産額の5割以上を占めた。町内では「達者村」と銘打った農村滞在型の観光誘客が積極的に進められ、八戸市と同町を結ぶ無料のフルーツ狩りシャトルバスをイベント時に運行している。

 直売拠点は名川チェリーセンター、ふくちジャックドセンター、なんぶふるさと物産館、そばの里「けやぐ」の4カ所。いずれも新鮮な果物や野菜、素朴な味わいの加工品が並ぶ。

 ふるさと物産館では、同町が誇る高級洋ナシ「ゼネラル・レクラーク」が食べごろを迎えた。果樹農家でもある沼畑俊吉事務局長(46)は「収穫後の追熟管理で、酸味と甘味が絶妙なバランスに仕上がっていますよ」と胸を張る。

▼「南部藩発祥の地から」工藤祐直町長

 バナナとパイナップル、ミカン以外の果物なら何でもとれる。それが南部町です。6月のサクランボに始まり、ウメ、プラム、モモ、ナシ、ブドウ、リンゴ、カキ、ハウスイチゴなど、旬の果物が一年中味わえます。

 今年は、サクランボの新品種「ジュノハート」が県内デビューを果たし、大きな反響がありました。いよいよ来年は全国デビュー。「さくらんぼの里」を掲げている町としては、苗木購入費を補助して生産拡大を応援しています。

 南部藩発祥の地である当町の国史跡「聖寿寺館(しょうじゅじだて)跡」では、室町・戦国期に隆盛を誇った奧州南部氏の姿が、発掘調査で明らかになってきました。食の魅力と一緒に、町の歴史にも触れていただければと思います。

▼あったか料理大集合 11月24日、「鍋自慢」開催

 寒い季節にぴったりの熱々メニューが南部町に一堂に集まる食イベント「あおもり鍋自慢!」が24日、町ふるさと運動公園の特設会場で開かれる。

 同町の「南部達者村ちゃんこ」をはじめとした青森県内の20市町村に加え、二戸市など岩手県北3市町村が参加。それぞれ1杯200~300円で提供する。会場では23、24の両日、新鮮な果物や野菜を即売する南部町農産物フェアも開かれる。問い合わせは町商工観光課(電話0178-84-2119)へ。

工藤祐直町長

大勢の家族連れらでにぎわう「あおもり鍋自慢」

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