愛に包まれ、わさお元気/嫁急死から3カ月

「わさお大賞コンテスト」で元気な姿を見せたわさおと飼い主の菊谷忠光さん(左)

 青森県鯵ケ沢町の人気犬わさおの嫁つばきが5月に急死してから3カ月。2017年11月に亡くなった飼い主菊谷節子さん(享年73)に続く最愛の存在の旅立ちを乗り越え、わさおは穏やかな日々を送っている。4日は、地元開催の「秋田犬長毛犬わさお大賞コンテスト」で元気な姿を披露。自身そっくりのモフモフな毛並みの長毛秋田犬やファンに囲まれ、変わらぬ愛嬌(あいきょう)でみんなを笑顔にした。

 会場となった海の駅わんどの駐車場は、わさおが幼い頃に菊谷さんに保護された縁深い場所。後に「ブサかわいい」と全国区の人気者になったわさおは、今や12歳。大型の秋田犬としては老犬の域に達し、人間なら80~90歳のおじいちゃんだという。

 わさおとつばきは仲が良く、イカ焼き店の看板犬として菊谷さん宅から2匹そろって出勤するのが日課だった。菊谷さんの長男・忠光さん(55)によると、つばきの死後しばらくは、いつもの居場所に姿を捜すようなそぶりが目立った。それでも最近は落ち着きを取り戻し、食欲もあり元気だ。忠光さんは「寂しくないようにできる限りのことはしてあげたい」と、わさおを抱きしめた。

 「つばきが死んだ後のわさおは、ばふらっとして(気が抜けたような感じで)、おっかあの時の自分みたいだった」。菊谷さんの夫・静良さん(78)は、わさおの境遇を自らに重ねる。菊谷さん亡き後、わさおの朝の散歩のお供が役目になった静良さんは「最近ようやく懐いてきたよ。まだ、おっかあみたいにはいかないけど」と目を細め、わさおプロジェクト代表の工藤健さん(51)は「これだけ多くの方が気に掛けてくれているのはありがたいし、わさおは本当にすごい。健康に留意しつつ存在感のある隠居生活を送ってほしい」と思いやる。

 今年で5回目を迎えたコンテストには県内外から14匹が出場。大賞には大阪府の河野海(つよし)さん(42)が飼う虎毛の小次郎(オス、1歳9カ月)が選ばれた。河野さんは「秋田犬に長毛がいることを世間に広めてくれたのはわさお。長毛秋田犬をもっと知ってほしい」と話した。

大賞に選ばれた小次郎と飼い主の河野さん夫妻

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