社会人落語家・抱返り亭勘助さん(仙北市) 武家屋敷で話術披露

 秋田県仙北市角館町の武家屋敷通りにある「旧石黒恵家(いしぐろけいけ)」。今月5日、その座敷に抱返り亭勘助さん(29、本名・尾暮祐樹)が登場し、古典落語「お菊の皿」を語り始めた。幽霊となって皿の枚数を数えるお菊の美しさが評判を呼び、見物人が殺到する展開。軽妙な語り口で臨場感たっぷりに演じ、笑いを誘った。

 会社員として忙しく過ごしながら、武家屋敷で月1回、古典落語会を開いている。「落語は、一人で登場人物や情景を全て表現できるのが面白い。初めて聴く人にも面白いと思ってもらえるよう、これからも続けたい」と語る。

 仙台市出身。小学生の頃、落語を題材にしたNHKの連続テレビ小説「ちりとてちん」を見て興味を持った。映像や音源から独学で演じ方を身に付け、古典ならではの言葉は本を読んで覚えた。

 大学卒業後、縁あって仙北市で就職。大好きな落語で地域を盛り上げようと、2024年7月に武家屋敷での落語会を始めた。名前は同市の県立自然公園・抱返り渓谷にちなんだ。これまでに45本ほどを公演しており、新たな演目を披露しようと日々研さんを重ねている。

 落語会を武家屋敷で開くのは、地域の文化財を活用したいとの思いからだ。「大学で学芸員の勉強をして、住民の関心がなくなって失われてしまった伝統芸能があると知った。好きでやってきた落語を通じ、文化財にも関心を持ってもらいたい」

 武家屋敷には、古典落語の世界にタイムスリップしたような空間が広がる。「会場が天然の舞台装置となって想像が広がる。文化財も落語も、気軽に触れられるものなんだと伝えていきたい。もっといろいろな場所で落語を披露したい」と話した。

 次回の古典落語会は8月13日午前11時から、旧石黒恵家で開く。無料。今月25日には、田沢湖畔イベント広場で開かれる「たざわ湖・龍神まつり」に午前11時45分から出演する。

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