開発40年 東八甲田温泉(七戸)承継者求む

代表の田島さん(右)と温泉を支えるスタッフたち=今年5月、七戸町の東八甲田温泉

 東北新幹線の七戸十和田駅そばにある温泉宿泊施設・東八甲田温泉(青森県七戸町)が、事業承継の相手を探している。住民らが40年前、新幹線開業と温泉による町おこしを夢見て開発し、大動脈の整備とともに歩んできた。運営会社代表で町議の田島政義さん(82)は「自分の体を考えると、無理をして迷惑をかけるわけにはいかない。やりたいという人に譲りたい」と語る。現時点で6月末まで営業継続予定。

 田島さんら関係者によると、地元事業者など約30人が1986年に「七戸駅前商店街協同組合」をつくった。田島さんは創立総会で発起人を代表してあいさつした。組合は、地域活性化策の一つとして温泉のある新幹線駅や商業施設を構想し、温泉掘削を進めた。

 掘り当てた当初は東北新幹線「やまびこ」にちなみ「やまびこ温泉」と呼ばれ、主に組合の会員が湯を楽しんだという。県衛生研究所所報第24号(88年発行)には、同町のやまびこ温泉について、86年4月に調査・分析した記録が残っている。

 当初はヒバ造りの湯船のみで、大浴場は後から増築した。浴場事業を本格化させるのに伴い90年ごろ、現在の運営会社につながる会社に事業主体を移行させたという。

 周辺で東北新幹線の建設工事が進んだ2000年代初めごろには、工事を取り仕切る人たちのために宿泊エリアを広げ、家庭的な食事を提供して、後方から建設を支えた。七戸十和田駅が開業した10年からは、町の玄関口の湯どころとして、観光客を迎えてきた。

 アルカリ性単純温泉、源泉掛け流しで熱めの肌なじみが良い湯は、今も愛好家を引きつけている。同駅からは徒歩約5分で、上北自動車道にも近く、町内外から入浴客が訪れる。

 田島さんは自身の体調などを考慮して事業承継を模索。今年3月末に一時休業を施設で告知すると、「休まないで」との声や「いつまで入浴できますか」との問い合わせが殺到した。規模を縮小して営業を続け、施設のウェブサイトを通じて、承継に関心がある人への呼びかけを始めた。

 長く勤めた女将(おかみ)(71)の元には、新幹線工事の関係者から近況を尋ねる電話が今もあるという。女将は温泉の今後について「設備は使えるし、湯量は豊富。若い人なら、私たちでは思いつかない活用策を考えてくれるのでは」と話す。

 田島さんは「仕事を頼める同世代の仲間がいるから続けてこられた。閉めたくない気持ちはある。高齢者がたくさん利用しているから、優しく接してくれる人がやってくれたらいいね」と語る。

七戸町荒熊内の東八甲田温泉の外観=今年5月

1986年2月、七戸町内で開かれた「七戸駅前商店街協同組合」の創立総会=田島さん提供(写真は一部加工しています)

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