江戸末期の山車人形修復完了・三社大祭


 江戸時代末期に制作された山車人形「太公望」の衣装と人形本体、装飾品の修復が終了し29日、所蔵する青森県八戸市の龗(おがみ)神社の神楽殿でお披露目された。数年間かけて丁寧に修復が施されており、8月1日の八戸三社大祭の「お通り」と3日の「お還(かえ)り」で、6年ぶりに神社行列に参加する。

 人形は高さ143センチ、幅91センチ、奥行き110センチ。胴部に文化9年(1812年)の墨書(ぼくしょ)がある。もう一つの山車人形「武田信玄」と共に2003年、市有形民俗文化財に指定された。

 衣装の修復は、八戸三社大祭山車祭り行事保存会が22~24年度、国庫補助を受け事業費約1201万円で実施し、女子美術大学染織文化資源研究所が修理を担当した。生地が破けた上着や、綿が飛び出していたはかまのほか、帽子、帯などを修復した。女子美術大学の大﨑綾子教授(染織文化財保存修復)は「分析したところ、高価な天然染料をふんだんに使っていた。劣化が激しかったが時間をかけ修復した」と説明した。

 人形本体は山車祭り行事保存会が22年度、文化庁の補助金を受けて事業費約393万円で、装飾品は龗神社が23年度にそれぞれ修復。いずれも古文化財保存修復研究所(埼玉県)が修理を担当した。このうち本体は台座を新たに制作、心棒を作り直したほか、頭や両腕、両足を修復した。

 同研究所役員の長井まみさんは「組み立てる人が作業しやすいよう工夫した。衣装修復の担当者と意思疎通を図りながら人形を修復するという、貴重な体験をさせていただいた」と振り返った。

 29日は八戸市教育委員会が市民対象のお披露目会と、神社関係者向けに人形・衣装の取り扱いを学ぶ講習会を開いた。市社会教育課の柏井容子主査兼学芸員は「多くの事業費と時間をかけて修復された。丁寧に取り扱ってほしい」と呼びかけた。

修復が終わり、披露された山車人形「太公望」

講習会で人形本体の組み立て方や衣装の着せ方を学ぶ神社の関係者

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