糠塚きゅうり 料理の主役/八戸

糠塚きゅうりのフルコースについて説明する上野店主(右)

 青森県八戸市の伝統野菜「糠塚きゅうり」の魅力発信に取り組む「八戸糠塚きゅうりファンクラブ」は24日、「糠塚きゅうりde晩餐会(ばんさんかい)」を同市のポルトガル料理店「レスタウランテ&バール サウーヂ」で開催した。同店店主・上野貴志さん(44)が晩餐会のために考案した唯一無二のフルコースを、記者も味わわせてもらった。

 夏の風物詩キュウリ。同ファンクラブ代表で、糠塚きゅうり生産者でもある南風農園代表・水野浩司さん(45)の畑ではまさに今、収穫期を迎えている。水分が多く、夏に食べやすい野菜の一つだが、食卓ではどうしても脇役になりがちな点に、水野さんは歯がゆさを感じていたという。

 そこで2016年から始めたのがこの晩餐会。糠塚きゅうりを主役に、プロの料理人が考案したメニューを多くの人に楽しんでもらおうと企画した。今年はサウーヂのほか、日本料理店「裏町しはん」とフランス料理店「ラ・メゾン ポデタン」の2店も協力する。

 24日夜、サウーヂには市内外から14人が来店。糠塚きゅうりのおそろいTシャツを着た、水野さんら主催者が迎えた。乾杯のドリンクは、糠塚きゅうりのエキスを使ったスパークリングワイン。透き通った翡翠(ひすい)色が目にも涼やかな一杯で開宴を祝った。

 この日のコースは全7品。糠塚きゅうりとアサリやタコを合わせたフラン(茶わん蒸し)には驚いた。魚介のだしと糠塚きゅうりの相性が抜群に良い。上野さんが「あえてぬるめの温かさに仕上げた」ことも効いていたのだろう。

 その後も、メインやデザートに至るまで見事「主役」を果たした糠塚きゅうり。生はもちろん、焼いても、蒸しても、ソースとしても鮮やかな存在感を放つ夜となった。

 晩餐会後、上野さんは「旬が限られている中、よりおいしく食べられる料理にできないかと修業する気分だった。糠塚きゅうりファンが増えるきっかけになれば」と語った。水野さんは「料理人の糠塚きゅうりに対する愛情、探究心が伝わってくる。生産者としてこれほどうれしいことはない」と満面の笑みだった。

 企画に協力する市内3店舗では、晩餐会開催日以外でも糠塚きゅうりの一部メニューを楽しむことができる(8月中旬まで)。相談は各店舗へ。

「糠塚きゅうりとアサリ、フグ、タコのフラン サルピコン(角切り)ソース」

メイン料理「レイタォン(子豚肉)と糠塚きゅうりのコンフィタード」

晩餐会を企画した水野さん(左から2人目)らファンクラブメンバー。Tシャツに描かれた糠塚きゅうりは左から順番に成熟過程を表現している

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