宮越家ふすま絵150年ぶり「再会」へ/中泊

宮越家に持ち込まれる「秋冬花鳥図」の高精細複製品(原本:大英博物館蔵、制作:綴プロジェクト=キヤノン、京都文化協会)(C)The Trustees of the British Museum(2017)

 青森県中泊町は15日、町内の旧家「宮越家」の今年の一般公開で、同家離れのふすま絵と一連の作品と判明した「秋冬花鳥図(しゅうとうかちょうず)」(英国・大英博物館所蔵)の高精細複製品を特別展示すると正式発表した。複製品は現在、奈良県の談山(たんざん)神社が所蔵。町は「かつて談山神社に所蔵され、明治初期に離れ離れとなった2組のふすま絵が、一つの空間で約150年ぶりに“再会”を果たす」とPRしている。

 複製品は、一連のものと判明した同家離れ「詩夢庵(しむあん)」内のふすま絵「花鳥図」のそばに設置する。5月23日に始まる春の一般公開だけでなく、秋の公開でも披露する。

 展示には大手精密機器メーカー・キヤノン(東京)と、京都文化協会が特別協力する。複製品は両者が展開する「綴(つづり)プロジェクト」の一環で2017年に制作し、18年に同神社に奉納。両者は同プロジェクトで画像化技術と京都伝統工芸の技を駆使し、鑑賞機会が限られる日本古来の貴重な文化財の複製品を制作している。昨年、宮越家と大英のふすま絵が対であると発表されたのを受け、キヤノン側が町に提案した。

 町によると、2組のふすま絵は1600~1624年ごろに狩野派絵師が制作。談山神社が所蔵していたが、1870年ごろ、仏教弾圧のための「廃仏毀釈(はいぶつきしゃく)」運動で離散したと考えられている。

 特別展示は、一連の調査を担当した元京都国立博物館主任研究員の山下善也氏が監修。また町は、山下氏の最近までの研究を踏まえ宮越家の花鳥図を「春景花鳥図(しゅんけいかちょうず)」と呼ぶと発表した。これまで春夏を描いたとされてきたが、春のみを描いたと判断された。

 春公開は5月23日~6月29日で、チケット販売は5月7日から。秋は9月26日~11月2日。問い合わせは町文化観光交流協会(電話0173-57-9030)へ。

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