蔦・赤沼登山道の整備完了/十和田

「蔦・赤沼登山道」の赤沼手前で標識の設置状況などをチェックする十和田山岳振興協議会のメンバー=1日

 青森県十和田市が十和田八幡平国立公園内の赤沼周辺で行っていた「蔦・赤沼登山道」と専用駐車場の整備が終了し、1日から利用が始まった。登山道はブナ林などを縫う総延長約5.1キロ、標高差約250メートルのルートで、既存の山道を基に設定した。整備は環境に配慮し必要最低限にとどめており、市は「注意事項を守り、くれぐれも事故のないよう楽しんで」としている。

 赤沼は蔦七沼の一つで、紅葉の名所として知られる。他の沼よりも蔦沼から北西に離れた場所にある。登山道は国道103号に架かる仙人橋から赤沼、松森(標高804メートル)を通り、月沼付近で蔦野鳥の森散策路と合流する。

 仙人橋付近には入山者に駐車場として利用されていた空き地があるが、管理者不在のため安全管理上の問題から、三八上北森林管理署が2021年5月に封鎖。山岳団体などから、市が管理者となって登山道や駐車場を整備するよう求める声が上がっていた。

 これを受け市は21年度に現地調査を行い、同管理署や同国立公園管理事務所との手続きが完了した今年9月に整備に着手。10月末までに刈り払いや倒木処理、標識の設置などを終えた。費用は約700万円。空き地には砂利を敷き、車8台分のスペースを確保した。

 赤沼周辺は風致維持のため木の伐採などが規制されているものの、近年は無断伐採などが度々問題化。松森山頂はブナ林の中にマツ科の常緑樹「コメツガ」が生育する希少な場所とされているが、樹勢の衰えが指摘されている。自然保護団体からは、コメツガ保護のため、山頂をルートから外すよう求める声もあった。

 市は登山道の本年度の管理業務を同市の十和田山岳振興協議会(山崎政光会長)に委託。来年度以降も国や関係団体と周辺の自然状況などを監視し、異常があれば対応を協議することにしている。

 市は赤沼周辺の登山道を新たな観光コンテンツとして活用することを観光戦略に据えており、小山田久市長は「周知の蔦に加え、赤沼も広く知っていただきたく蔦・赤沼登山道と名付けた。素晴らしい景観をより身近に楽しんでいただければ」とコメントした。


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