1887(明治20)年創業の森田麹(こうじ)・味噌(みそ)店(青森県南部町)のアイスクリームが好評だ。手のひらに乗る小さなカップに、136年の老舗の歴史と、2018年に亡くなった5代目・森田友彦さん=享年(66)=の思いを詰め込んでいる。手がけたのは、友彦さんの次男小田桐俊亮さん(40)で、同店の別事業として展開。「多くの人に森田の麹や味噌を知ってもらいたい」という、亡き父の思いをつなぎ、完全手作りで届けている。
販売しているのは麹と塩、米が原料の「三五八(さごはち)」を使った「こうじやの三五八アイス」と、味噌入りの「こうじやのみそアイス」で、ともに250円(税込み)。発酵食品の味噌、麹が絶妙な塩味と味の奥行きをつくり出し、三五八アイスは塩バターやチーズのような、みそアイスはキャラメルのような豊かな風味が特徴。これまで店に足を運んだことのなかった地域の客も増え、近隣のスーパーなどから注文も入り、販路を広げている。
同店の「生糀(こうじ)」は、県産米と麹菌のみを原料に、1954年に近所の火災のもらい火でも焼失を免れた地下の麹室で、4日間かけて作る。「当店の麹だからこそ、この味が出せる」と俊亮さんは自信を込める。
旅行会社社員から、妻幸子さん(68)の実家の仕事を継ぐ職人となった友彦さん。晩年は病と闘い、余命宣告を受けながら、最後まで仕事に打ち込んだ。闘病に際し、体に負担がかからないよう動物性食品を口にしなかった友彦さんは、こうした成分を含まないビーガンアイスに、同店の麹を加えるとおいしく食べられることに気付いた。「麹を使ったアイスを作りたい」と10年ほど前から幸子さんと話し合っていた。
複数の仕事を経験した俊亮さんが、本格的に同店の仕事に従事するようになったのは今春。味噌造りをしながら「作るからには本格的なものを」と、パティシエの助言も受け、2種類のアイスクリームを完成させた。「一つでも手順を省くと、全体のバランスが崩れてしまう」との父の教えそのままに、生真面目に作っている。
友彦さんが亡くなって5年、その思いを形にしたアイスクリームを求めて今、ひっきりなしに客が店を訪れる。麹の香り漂う店内で「友彦さんに見守られている気がする」と、現在は同店代表を務める幸子さん。残された家族みんなで、老舗ののれんを守り続けている。
販売しているのは麹と塩、米が原料の「三五八(さごはち)」を使った「こうじやの三五八アイス」と、味噌入りの「こうじやのみそアイス」で、ともに250円(税込み)。発酵食品の味噌、麹が絶妙な塩味と味の奥行きをつくり出し、三五八アイスは塩バターやチーズのような、みそアイスはキャラメルのような豊かな風味が特徴。これまで店に足を運んだことのなかった地域の客も増え、近隣のスーパーなどから注文も入り、販路を広げている。
同店の「生糀(こうじ)」は、県産米と麹菌のみを原料に、1954年に近所の火災のもらい火でも焼失を免れた地下の麹室で、4日間かけて作る。「当店の麹だからこそ、この味が出せる」と俊亮さんは自信を込める。
旅行会社社員から、妻幸子さん(68)の実家の仕事を継ぐ職人となった友彦さん。晩年は病と闘い、余命宣告を受けながら、最後まで仕事に打ち込んだ。闘病に際し、体に負担がかからないよう動物性食品を口にしなかった友彦さんは、こうした成分を含まないビーガンアイスに、同店の麹を加えるとおいしく食べられることに気付いた。「麹を使ったアイスを作りたい」と10年ほど前から幸子さんと話し合っていた。
複数の仕事を経験した俊亮さんが、本格的に同店の仕事に従事するようになったのは今春。味噌造りをしながら「作るからには本格的なものを」と、パティシエの助言も受け、2種類のアイスクリームを完成させた。「一つでも手順を省くと、全体のバランスが崩れてしまう」との父の教えそのままに、生真面目に作っている。
友彦さんが亡くなって5年、その思いを形にしたアイスクリームを求めて今、ひっきりなしに客が店を訪れる。麹の香り漂う店内で「友彦さんに見守られている気がする」と、現在は同店代表を務める幸子さん。残された家族みんなで、老舗ののれんを守り続けている。