にかほ市「冬師湿原」草原の里100選に 県内2カ所目

草原の里100選に選定された冬師湿原(にかほ市提供)
 秋田県にかほ市の「冬師(とうし)湿原」が「未来に残したい草原の里100選」に選定された。県内では寒風山(男鹿市)に次いで2カ所目。多様な植物が群生することや、地域ぐるみの野焼きによって特徴的な自然環境を維持している点が評価された。

 冬師湿原は、にかほ市東部の標高約400メートル前後に位置し、約2500年前の鳥海山山体崩壊で形成された。岩なだれで流れ着いた山の一部「流れ山」が小高い丘となって残り、その合間に湿地やため池ができたとされる。

 2・6平方キロにススキのほか、ハンノキやミズナラなどの樹木・植物が自生し、フデリンドウ、オキナグサなどの花も咲く。県レッドデータブック2020で絶滅危惧類に指定されているチョウ・クロシジミも生息。野焼きは一帯に火を放ち、枯れ草を燃やして害虫を駆除する営みで、毎年4月下旬に行われている。

 冬師湿原を「地形・地質サイト」として登録している鳥海山・飛島ジオパーク推進協議会は、これらの事実を住民から聞き取った上で、土地を所有し管理する冬師牧野農業協同組合(三浦吉松組合長)と共に今年1月、草原の里100選事務局に申請した。

 草原の里100選は、全国草原の里市町村連絡協議会が主催し、環境省や農林水産省が後援。草原や里地で培われた知識や技術、思いを共有し後世に受け継ごうと設けられた。2022年に34カ所が選ばれ、第2弾として今年、冬師湿原など14カ所が大学教授やジャーナリストらで構成する選考委員会によって選ばれた。

 冬師牧野農業協同組合の三浦組合長は「100選に選ばれたことはうれしい。よりきれいに管理する励みになる」と喜びを語った。ジオパーク推進協の長船裕紀研究員は「地域内外の人が冬師湿原について考えるきっかけとなり、価値や魅力の継承につながっていけばいい」と述べた。

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