弘前の街中にアート コロナ影響、屋外で展覧会

交差点に面して高さ2メートル20センチ、幅3メートル30センチの作品が展示されている果物店の外壁=弘前市土手町

 青森県弘前市内でこの冬行われたアーティスト・イン・レジデンス(AIR、作家の滞在制作)の成果展示が16日、同市中心部で始まった。交差点に面する商店の外壁や街頭のショーウインドーなどに写真と共にメッセージが並び、見慣れたいつもの空間が非日常の芸術作品に変わった。新型コロナウイルスの影響で、予定していたギャラリー展示はできなくなったが、代わりに街中が展覧会場となった。

 このAIRは、地域おこし協力隊制度を活用した同市の起業家育成事業「NextCommonsLab(ネクストコモンズラボ、NCL)弘前」のメンバーの企画。AIRを支援し、アートによるまちづくりを進めるプロジェクトの一環として今年2~3月に東京在住の美術家・酒井一樹さんを弘前に招いた。

 本来はNCL弘前のギャラリースペースで今月11日から成果展示を行う予定だったが、新型コロナの影響でギャラリーが休業に。酒井さんも弘前に来られなくなり中止も考えたという。

 「それでも、こんな時だからこそ、創作活動に携わるものとして何ができるのか考えたいと思った」。NCL弘前でAIRプロジェクトに取り組む樽澤武秀さん(41)=同市=は語る。その結果、地元商店などの協力を得て、土手町を中心に40カ所の展示スペースを確保。樽澤さんは「新奇なことも面白がってくれる弘前の土壌があるからこそ、企画を実現できた」と話す。

 酒井さんは「弘前の街そのものを『劇場』として捉え直し、街中で作品の『上演』を行うというコンセプト」に考えが至り、弘前とオンラインでやりとりしながら展示空間に合わせて作品を再制作。「劇場のともだち」と題した展覧会の開催にこぎつけた。

 作品はいずれも、酒井さんが市内で撮影した写真に言葉を乗せたもの。展示説明はなく、景色にとけ込んで見過ごしてしまいそうにもなる。樽澤さんは「作品を見つけに出掛けていく必要はありません。買い物や散歩など必要があって街に出る人に何かを感じてもらえれば」と話している。展示は5月30日まで。

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