弘前で30年ぶり改元の年だけのイベント

弘前市街地から旧岩木町方面に望む11日の岩木山。6月25日にはどんな姿を見せてくれるのだろうか

 改元の年にしかやってこない「1年6月25日」、岩木山の標高1625メートルにちなんで平成1年6月25日に弘前市(旧岩木町)で行った手づくりでアイデア満載のイベントが、30年の時を経て令和1年6月25日に帰ってくる。その名も「岩木山1625大作戦」。前回は「脱“津軽富士”宣言」などユニークなメニューを多数実施し、千人超の人たちで活気に満ちた。今回も岩木のモツケたちが知恵を絞って企画を立案中。関係者は「にぎわいにつなげたい」と意欲を見せている。

 「大作戦」は、市岩木総合支所の「日本で最も美しい村づくり推進事業」の一環で、市は本年度当初予算に「1625プロジェクト業務委託料」として15万円を盛っている。支所では23日に、関係機関と協議を行い、イベントの内容について話し合う。

 平成のイベントは「おやまのてっぺんカーニバル」と題して行われた。平成元年6月26日付東奥日報や当時の資料によると、イベントは常盤野小中学校をスタートに山頂を目指す「岩木山酷最(こくさい)のれそれマラソン」でスタート。聞いただけで疲れるような催しだが、53分53秒のタイムの優勝者をはじめ118人が完走したと伝えている。

 このほか、山頂で500人が参加して大声コンテストやタイムカプセルの埋設などを実施。1625個の風船を飛ばしたり、生まれて1625日目の人、電話番号1625、身長162.5センチの人などによる「1625大賞」を選考したりと「1625」づくしの一日だったようだ。

 そして午後1時6分25秒にはメインイベントともいえる「脱津軽富士」を宣言。「岩木山は(山頂左右の鳥海山、巌鬼山の)三つの頂(の標高)を足すと4584メートルで富士山を抜いて日本一。姿は世界一だ」と言い切った。

 当時の資料には「この日でやめた“津軽富士”。日本一高く、世界一の男美(おとこよ)し。『岩木山』は『岩木山』。“津軽富士”なんかじゃない。むしろ、この日から富士山! お前が“甲斐岩木”。ここで一句“呼ばぬなら、呼ばせてみせよう、かい岩木”」として「全国の“〇〇富士”諸君へ告ぐ。この日PM1時6分25秒から“〇〇岩木”と呼ぶことを宣言する」と、じょっぱり精神に満ちあふれた文章が記されている。令和の今回は、はてさて何が飛び出すことやら。

 平成のときはちょうど日曜日に当たり「岩木山デー(サンデー)」とも呼ばれた。今回は平日の火曜日に当たるため、前後の週末などを含め複数日にイベントを実施する「岩木山ウイーク」とすることも検討中という。

 平成の当時、岩木町役場総務課企画係でこのイベントを担当、この春市岩木総合支所長に着任したばかりの戸沢春次さんは「あの時に携わった者としては、運命的な何かを感じる。地元岩木の人たちの思いがにじむようなイベントを考えていきたい」。岩木のモツケは記者の質問には多くを語らず、胸に秘めたプランにひとりほくそ笑んだ。

平成1年6月25日に行った「おやまのてっぺんカーニバル」のちらし。富士山などをよそに指を1本立てて胸を張る岩木山のイラストがユニークだ

弘前市

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