古民家再生、個性的な店次々/弘前

古民家の風情を壊さない品ぞろえを心がけているという石川さん

 古民家を活用した個性的な店が、青森県弘前市内で近年相次いでオープンしている。起業・創業支援の専門家「インキュベーションマネージャー(IM)」の石川悟さん(43)が自ら雑貨店を開いたのを皮切りに、郷土料理を提供するカフェ、ビンテージ家具を扱う店が営業を開始。空き家など未利用だった空間が、人々が集う場に再生を遂げた。

 石川さんが営む雑貨店「古民家sudatsu(すだつ)」は、弘前市小栗山の住宅地にある。築80年を超える住宅を買い取り、自ら床板を張り替え、壁を塗り、2017年5月にオープンさせた。中古の家具や照明、古着、ブリキの置物などの品々が、重厚なはりが歴史を物語る店内にマッチしている。

 「夏暑く冬寒い。常に掃除していないと、すぐ汚れる。好きじゃないと維持できないですね」と苦笑いする石川さん。隅々まで手入れされた空間には、県外からも買い物客が訪れる。

 石川さんがIMの資格を取得したのは09年。これまで相談を受けた約800人は、半数ほどが創業にこぎ着けた。その1人が、弘前市の高木恵美子さん(52)だ。

 高木さんは同市高岡の自身の住まいを一部改装し、昨年11月に「古民家カフェ 山の子」を開店した。郷土料理を取り入れたランチなどが人気を呼び、開業1年目の売り上げは当初計画を上回った。断熱性能を高める工事はしたものの、築80年の柱や天井がそのまま残り、「おばあちゃんの家に来たみたい」「うちも昔はこうだった」と訪れる人たちの心を和ませている。

 「以前は物置のように使っていたけど、きれいにしたら、こんなに雰囲気のいい建物だったんだと実感した」と高木さん。近くには高照神社、高岡の森弘前藩歴史館があり、カフェが地域おこしの弾みになれば-と願う。

 弘前市の「趣のある建物」に指定されている同市百石町小路の「旧杉山醫院(いいん)」には今年6月、北欧ビンテージ家具を扱う店「PPP」がオープンした。首都圏からUターンした店主の石田学さん(39)は「いかに建物の風合いを殺さずに店を運営するか、勉強している最中」と話す。エアコンは取り付けず、冬はレトロなストーブで暖をとる。

 現在、店は旧医院部分のみで営業しているが、将来は明治期に建てられた母屋も「デザインを学ぶ寺子屋」として開放したい考えで、「古いものに新しい風を吹き込み、地域に根ざして残る建物にしていけたら」と意気込む。

自身の住まいの一部を改装し、カフェを開いた高木さん

かつて医院だった空間を、北欧家具がそろう店舗に変えた石田さん



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