桜オーナー応募が前年の4倍/弘前のふるさと納税

弘前公園でソメイヨシノの剪定を体験する、ふるさと納税の桜オーナー=3日(弘前市広聴広報課提供)

 青森県弘前市が実施している、地域の観光資源を生かしたふるさと納税が伸びを見せている。弘前公園の桜のオーナーになれることしの「日本一の『さくら』応援コース」応募者は、前年比4倍で事実上満杯の約800人。現在11月末までで募集中の、返礼品とは別にねぷた絵を贈る期間限定の特典への応募も好評だ。

 市では「弘前公園の桜をより身近に感じていただき、来園の機会創出を図るため」(市広聴広報課)2017年から、毎年弘前さくらまつりの前後の期間限定でオーナーの募集を実施している。オーナー数は17年が215人、18年が226人。3月1日から5月31日までの期間で募集したことしは、従来オーナーの募集期間に取り扱っていなかった前年産リンゴの返礼を継続したことも奏功し、飛躍的に増加した。

 弘前公園には約2600本の桜の木があるが、中には堀の対岸にあるなど、眺めるだけで近づくことができない木もある。制度の趣旨に沿ってこのような木を除くと、オーナーに割り当てることができるのは800本がほぼ限界。同課は「来年以降、さらに応募が伸びるようであれば、抽選など何らかの方法を考えなければならないかもしれない」と、予想以上の反響にうれしい悲鳴を上げている。

 2日から3日にかけては、オーナーたち20人ほどが公園を訪れ、桜守の橋場真紀子さんらの指導を受けながら、施肥や剪定(せんてい)などの作業を体験した。橋場さんは「リピーターの方も多く、その思いには見習うものがあり、身の引き締まる思い」という。

 埼玉県鴻巣市の藪内吉子さん(63)は3日、3年前からのオーナーで夫の克己さん(66)の代理で参加。「桜守は大変な仕事だと分かった。これがきっかけで、りんご公園など弘前の街を見ることができてよかった」と喜んでいた。

 一方、10月1日から11月30日の期間中に「弘前4大まつり応援コース」に寄付した人への特典としては、その年の夏のまつりに実際に出陣したねぷたから剥がされた絵が贈られる。寄付金額に応じてぼたん絵、額絵、5万円以上になると小型から大型ねぷたの鏡絵や見送り絵などが、来年3月をめどに送付される。17年は201件、18年は205件で、うち鏡絵、見送り絵を贈ったケースが17年が2件と4件、18年が3件、6件あった。

 市立博物館職員で絵師の川村快之(号・麗巴)さんがことし手がけた市役所前ねぷたの鏡絵も、候補の1枚として納税者に送られるのを待っている。川村さんは「一度祭りで使われた絵が、再び人の手に渡って、市の財政効果と同時にねぷたのPRにも役立ててもらえるのはありがたいこと」と話している。

 市広聴広報課の担当者原子知也さんは「ふるさと納税をきっかけに弘前市に興味を持っていただく方が増えてほしい」と話している。

 問い合わせは同課(電話0172-40-0494)へ。

寄付者に贈られる予定の川村さんの鏡絵

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