【連載うまい森・味めぐり】ホタテ日本一の町から/平内

弘前市で初開催の「うまい森 青いもりフェア」に登場した平内町の焼きホタテ。香ばしい匂いに誘われ、買い物客が並ぶ=5日、さくら野弘前店

 陸奥湾産ホタテガイは、肉厚の貝柱と濃厚なうま味が自慢だ。青森県平内町は湾内で最も早く、昭和30年代に養殖技術の研究がスタートした陸奥湾ホタテの主産地。新・ご当地グルメ「平内ホタテ活御膳(かつごぜん)」などで、観光誘客にも力を入れる。

 湾内の天然ホタテは、自然条件に左右されて水揚げが安定しなかったというが、なぜ平内で養殖に成功したのだろう。

 「優れた研究者や熱心な地元漁業者の努力によるものですが、漁場が比較的深いということもプラスに働いたでしょうね」。同町茂浦にある県産業技術センター水産総合研究所を訪ねると、野呂恭成所長が教えてくれた。海中に養殖籠をつるす方式(垂下養殖)では、漁場が深いことで水温に応じた管理ができ、良質な貝が育つという。

 県統計では、同町の2018年ホタテ水揚げは約4万トン、62億円で県全体の5割弱を占めた。町は、養殖ホタテ水揚げ高で日本一と胸を張る。

 15年春にデビューしたホタテ活御膳は刺し身、ステーキ、すし、汁もの、さらにデザートのアイスまでホタテずくめだ。平内ホタテ料理推進協議会の事務局長・ベイビー畑井さんは「県内でも、海がない地域の方に特に人気。産地でないと味わえないメニューですから」と自信たっぷり。町内4店舗で提供され、累計販売数は6万食達成を目前にしている。

▼「植林で海の恵みを」/船橋茂久町長

 農林水産を基幹とする平内町にあって、地域経済に占めるウエートが最も大きいのがホタテガイ養殖です。多い年だと漁獲額が100億円を超えるほか、水産加工場などの関連する事業所も、たくさんあるからです。

 ホタテをはじめとした海の恵みを活用するには、その養分を育む山を守ることが大切。漁業者や子供たちによる植林が盛んに行われてきました。町では、国が本年度から地方自治体に配分する森林環境譲与税を活用し、まず民有林の現況を把握するための林道整備などを進める予定です。

 夜越山森林公園、北限のツバキ自生地がある夏泊半島などを多くの方に楽しんでもらえるよう、利用者目線で観光施設の改修や整備に取り組みたいと思います。

▼食と文化、産業の魅力集合/26・27日、秋まつり

 平内町の食と文化、産業の魅力が一堂に集まる恒例イベント「ひらない秋まつり」が10月26、27の両日、町立体育館や町山村開発センターを会場に開かれる。

 町民文化祭と商工会びっくり市がコラボ。産直マーケットでは、町内でとれた農林水産品を販売する。ホタテ詰め放題、もちつき振る舞い、歌謡ショーなど多彩な催しも行われる。

 問い合わせは、町水産商工観光課内にある秋まつり実行委員会(電話017-755-2118)へ。

平内町長・船橋茂久氏

平内町の食や文化の魅力が一堂に集まる「ひらない秋まつり」

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