【連載うまい森・味めぐり】スチューベンの里から/鶴田

鶴田町特産の「スチューベン」を使った各種加工品。旬の季節以外もバラエティー豊かな商品でブドウの風味が楽しめる

 津軽平野の真ん中にある鶴田町は、藩政期からコメ増産のための大がかりな水利事業が行われた地域。町内を南北に貫く国道339号を走ると、周囲に広がる水田の中に青々と葉を茂らせる垣根仕立てのブドウ畑が目を引く。町が日本一の生産量を誇る冬ブドウ「スチューベン」の園地だ。

 津軽の新田開発の象徴ともいえる廻堰(まわりぜき)大溜池がある鶴田町。だが、昭和40年代からコメ余りによる生産調整(減反)が拡大し、転作作物としてスチューベンが導入された。北米ニューヨーク州生まれの品種で寒さに強く、リンゴで培った貯蔵技術を応用できるメリットもあった。

 同町のスチューベン農家は約140戸、計100ヘクタール規模。2017年の生産量は約1100トンだった。糖度が高く貯蔵性に優れるため、生果は10月から翌年2月ごろまで販売できる。付加価値を高めるための加工品開発も活発に続いている。

 道の駅つるた「鶴の里あるじゃ」を訪ねると、ジュースやワイン、ソフトクリーム、菓子など、スチューベンの里ならではの品ぞろえに驚かされる。暑い夏は、冷えたサイダーや、こんにゃくゼリーもお薦めだ。一戸明彦駅長は「看板商品のスチューベン大福は年間20万個を売り上げるヒット作。若い職員の感覚を大切にしながら、地元の食材を生かせる商品を提供したい」と話す。

「絶景・鶴の舞橋もお薦め」/相川正光町長

 日本一の生産量を誇る鶴田町のブドウ「つるたスチューベン」は今年3月、農林水産省の地理的表示(GI)保護制度の対象に選ばれました。

 道の駅つるた「鶴の里あるじゃ」では昨年春から、新たな農産物直売所や急速冷凍庫などが稼働しています。鶴田産スチューベンは優れた貯蔵性が特長ですが、最新の冷凍設備によって加工品開発の幅が広がり、ブランド力がさらに高まるものと期待しています。

 岩木山を望む津軽富士見湖(廻堰大溜池)は、日本一長い木造の三連太鼓橋「鶴の舞橋」が県外客に人気で、雪景色もお薦め。来年春には通年営業の観光施設が富士見湖パークに完成しますので、四季折々に変化する絶景を多くの方々に楽しんでほしいですね。

恒例スチューベンまつり/10月12~14日「あるじゃ」で

 道の駅つるた「鶴の里あるじゃ」で10月12~14日、つるたスチューベンまつりが開かれる。

 旬のスチューベン食べ放題(先着30人、制限時間30分・200円)やスチューベン大福プレゼント(先着100人)などのイベントが盛りだくさん。同時開催の道の駅フェアでは、山形県・道の駅むらやまの名物「いも煮」を販売するほか、各道の駅自慢の商品が集まる。まつりは午前9時~午後3時。問い合わせは鶴の里あるじゃ(電話0173-22-5656)へ。

鶴田町長・相川正光氏

スチューベンの食べ放題を楽しむ子どもたち

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