【連載うまい森・味めぐり】甘みとろける海峡ウニ/風間浦

村内の陸上施設で養殖試験が行われているキタムラサキウニ。1年を通じて安定出荷できるようになれば地元漁業者の経営安定にもつながる

 ハマで味わう夏の味覚といえば、甘みとろけるウニは外せない。餌となるコンブなどの海藻が豊富な津軽海峡東部を含む下北地域は、ウニの水揚げ量が青森県全体の8割を占める。風間浦村は、旬のウニを漁獲するだけでなく、漁場を守るために駆除した過剰なウニを養殖に回し、商品化する試験にも挑戦している。

 村内の各漁協では、ウニによる過剰な食害でコンブやワカメが消失する「磯焼け」対策が急務となっている。アワビや藻場をすみかにする魚が取れなくなるほか、餌不足で身が入らない「空ウニ」だと売り物にならないからだ。

 そこで村が着目したのは、藻場で駆除したウニを育てる技術。蛇浦地区では昨年秋、かご養殖試験が始まり、海中の円筒容器に収めた空ウニにコンブを与えて成育状況を調べている。村内では、陸上にあるアワビ種苗施設を利用して、人工飼料でウニを養殖する試験も実施中。こうした取り組みについて、下北地域県民局むつ水産事務所は「養殖で身入りが向上すれば空ウニの漁獲が進み、磯焼けの回復・防止が期待できる」とみる。

 ウニの盛漁期は春から夏にかけてだが、養殖が軌道に乗れば通年出荷も夢ではない。村産業建設課の木村祐生主幹は「沿岸漁業の主力であるイカの不漁が続いているだけに、ウニ養殖を何とか実現させたい」と話す。

<「美しい景観、温泉も魅力」 冨岡宏村長>

 漁師の家に生まれ育ったので小さい頃から、よくウニ突き漁に出掛けました。風間浦のウニは、津軽海峡の良質なコンブを餌にするので甘みたっぷり。ただ、ウニが増えすぎれば磯焼けを招くので、各漁協と連携して対策に取り組んでいます。

 その中で、県外の方々にも好評なのが2年前に始めた「観光ウニ園」です。本州最北の海をながめながら生きたウニを採って味わうというのは、美しい景観と地域の食が一緒に楽しめる「究極のジオ・ダイニング」ではないでしょうか。

 作家・井上靖先生ゆかりの下風呂温泉郷には、来年夏に新たな温泉施設が完成する予定。冬場の風間浦鮟鱇(あんこう)イベントも人気ですので、四季を通じて風間浦の魅力を満喫していただきたいですね。

<海鮮どんぶりまつり 27日、下風呂温泉郷で>

 津軽海峡の恵みをたっぷり味わえる風間浦村の「ゆかい村 海鮮どんぶりまつり」が27日午前9時から、下風呂漁港で開かれる。

 鮮度抜群のスルメイカ、ウニ、アワビなどが300~500円のミニ丼で味わえるほか、名物の「元祖 烏賊様(いかさま)レース」や下北地域で最も早い花火大会(打ち上げ開始午後8時)などのイベントも人気。海鮮どんぶりは数量限定なので、お求めはお早めに。まつりの問い合わせは村商工会(TEL0175-35-2010)へ。

風間浦村長・冨岡宏氏

新鮮なアワビやイカ、ウニの丼を味わう来場者

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