浅虫温泉3旅館、19日リニューアルオープン

陸奥湾や湯の島を望む南部屋・海扇閣の客室。ベッドを希望する宿泊客向けに和洋室を設けた

 青森市浅虫地区で、官民ファンド・地域経済活性化支援機構(REVIC)の支援を受け事業再生を進める南部屋旅館、ホテル秋田屋、椿館の3社の旅館が改装を終え、19日に営業を再開する。リニューアルに先立ち17日、3社が観光事業者や行政関係者らを招いて内覧会を開いた。改装を通じて、浅虫地区や青森県を初めて訪れる旅行客、家族連れなど、旅館ごとに客層の主要ターゲットを明確化。地域全体の集客力を高める狙いがある。

 REVICによると、3社が運営する旅館はこれまで、客層や価格設定が似通っていたため、地域内で宿泊客を奪い合う構図になりやすかった。各旅館の個性や得意分野を差別化し、幅広い層の集客を図る。

 南部屋旅館が運営する南部屋・海扇閣は、首都圏からの新規客や地元のリピーターなどをターゲットに据える。ねぶたや津軽手踊りなどを通年で宿泊客に披露する場をつくり、個室の食事会場、和室にベッドを設置した和洋室などを設けて多様なニーズに対応する。

 ホテル秋田屋は、ビジネス客や子どもがいる家族の利用に主眼を置く。価格帯を抑え、遊具や絵本などを備えたキッズスペースを新設。従来の和室を一部改装し、ビジネス利用を想定した部屋を設置した。

 椿館は、旅館が所蔵する世界的板画家・棟方志功の作品を1カ所に集め、ギャラリーを充実させた。宴会場を個人向け食事会場に改装し、全館的に内装を高級感のあるつくりにした。熱心な芸術ファンや、高級な雰囲気を味わいたい層の誘客を目指す。

 REVICは、3社以外の宿泊施設や地域の飲食店も含めた設備の改修、街並み整備の事業を計画している。2023~24年度の事業費総額は14億1千万円で、うち7億8千万円は観光庁の高付加価値化事業補助金の活用を見込む。

 REVIC地域活性化支援本部の鈴木善行シニアディレクターは「浅虫を拠点に県内各地の観光地を訪れる『発地型』の温泉地となってほしい。全国的な知名度向上に向け、津軽文化を発信してお客さまを呼び込みたい」と話した。

子ども連れの宿泊客向けに、土産売り場の隣にキッズスペースを設けたホテル秋田屋

椿館の棟方志功作品ギャラリー。旅館内にある作品を1カ所に集め、高級感のある内装にした



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