【連載うまい森・味めぐり】正月料理に極上なまこ/横浜町

お正月の食卓に並ぶ「横浜なまこ」を年末に水揚げし、軽トラックの荷台に次々と積み込む漁業者。季節限定の味として人気が高い(資料写真)

 県内の正月料理で、ナマコは最もポピュラーな食材の一つ。真冬の海で取れたナマコを刺し身や酢の物で味わうと、コリコリした食感、さっぱりしたうま味が広がる。中でも陸奥湾産「横浜なまこ」は、年末の数日間しか水揚げされない極上品として人気が高い。

 ナマコは、古くから中華料理の高級食材として使われ、アワビやフカヒレなどとともに「俵物(たわらもの)」と呼ばれる重要な交易品となっていた。これが、豊作を連想させる米俵につながることから、縁起物になったともいう。

 陸奥湾は国内でも有数のナマコ産地。県統計によれば2017年に県全体で約750トン、約28億円の水揚げがあり、1割ほどが横浜町産だった。

 町漁協は、横浜なまこのブランド化にも取り組み、15年にナマコで全国初の地域団体商標に登録された。道の駅「よこはま 菜の花プラザ」を訪れると、本物の乾燥ナマコを使った携帯ストラップが土産物コーナーに並び、買い物客が興味深げに見つめていた。

 横浜なまこの資源管理は徹底している。正月向けの漁は12月下旬の3日間ほど、それも1日1時間の制限付きだ。

 中国向けの輸出増で高騰した相場も徐々に落ち着いてきたとのこと。町漁協の小川伸一参事は「横浜産は柔らかめの小型サイズが多い。生食に適した食感なので、堪能してください」と話す。

「自慢は住む人の温かさ」野坂充町長

 町名産の「横浜なまこ」は柔らかさと上品なうま味で知られ、特に正月料理には欠かせない食材です。どこに出しても恥ずかしくない、日本一の味だと思っています。

 水産業ではホタテガイ養殖の占める割合が大きく、町内の飲食店で産地ならではの新鮮なホタテを使った料理が味わえます。農業は根菜を中心とした畑作が盛ん。特にジャガイモは、県内市町村でトップクラスの生産量を誇っています。

 横浜町といえば、なんといっても菜の花。黄色い花が一面に広がる5月には、菜の花フェスティバルに多くの観光客が訪れます。夏はヤマセ、冬は津軽海峡を渡って強い西風が吹き付ける厳しい気候風土ですが、住む人は優しくて温かい。それが一番の自慢です。

期間限定メニュー提供/なまこフェア 30日開幕

 お正月の味として親しまれている横浜町名産のナマコを、一足早く味わえるのが「横浜なまこフェア」だ。今年は11月30日から12月8日まで、町内2店で開催する。

 会場は道の駅「よこはま 菜の花プラザ」レストラン鮮菜と、トラベルプラザ「サンシャイン」。横浜町漁協がフェア向けに特別に水揚げするナマコを使い「横浜なまこ丼」「なまこ小鉢」などの期間限定メニューを提供する。問い合わせは町産業振興課(電話0175-78-2111)へ。

野坂充町長

フェアの特別メニュー「なまこ丼」

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