貴重な賢治直筆資料 花巻の記念館「春と修羅」「祭の晩」展示

 花巻市矢沢の宮沢賢治記念館(鈴森早織館長)は、賢治の直筆献呈署名が入った「春と修羅」初版本と童話「祭の晩」の直筆稿を23日まで展示している。「春と修羅」は賢治が自ら教え子に贈ったもの。「祭の晩」は原稿用紙11枚に書かれ、ほぼ清書段階の原稿とみられる。いずれも貴重な自筆資料だ。

 「春と修羅」は1924(大正13)年4月、花巻農学校の教師だった賢治が自費出版した。1千部発行したがほとんど売れず、大半を賢治が引き取ったとされる。同館によると現存する初版本は30~40部で、うち献呈署名入りのものは2部しか確認されていない。

 今回公開した初版本は故安藤寛(かん)さん(旧姓桜羽場)に贈られたもの。表紙の次のページに鉛筆で「五月十三日 宮沢賢治 呈 櫻羽場寛君」と書かれている。贈った日に安藤さんの求めに応じて書いたという。安藤さんの末娘広田ゆき子さん(神奈川県)が今年5月同館に寄贈。修復を経て9月14日から展示している。

「祭の晩」の直筆稿
 「自信を持って出版した本を教え子に持って行ったら、サインを求められた『賢治先生』の高揚感が伝わる」と同館の牛崎敏哉学芸員。宮沢明裕学芸員は「賢治の生活に関わるものは戦災でほとんど残っていない。作品とは少し違う資料で、貴重」と語る。

 「祭の晩」は「山の神の秋の祭り」に現れた山男を巡る物語。鳥谷ケ崎神社の祭礼(花巻まつり)など複数の祭りを織り込んだとみられ、15日まで3日間開かれた花巻まつりに合わせて公開した。削除や加筆など推敲(すいこう)部分もあり、執筆中の息遣いが感じられる。直筆稿の展示は23日までだが、10月27日まで「祭の晩」特別展を開催している。

 午前8時半から午後5時まで。一般350円、高校生、学生250円、小中学生150円。問い合わせは宮沢賢治記念館(0198・31・2319)へ。

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