【連載うまい森・味めぐり】けちゃっぷに農家の愛/蓬田

蓬田村名産の桃太郎トマトを原料にした加工品。根強い人気を誇る「とまとけちゃっぷ」(左端)をはじめ、ジャムやパスタソースなど種類も豊富

 おんなじ手間暇をかけて育てたトマトなのに、ちょっと色や形が違うだけで売り物にならないなんてかわいそう-。蓬田村名物の「手造りの味 とまとけちゃっぷ」は、トマトに愛情を注ぐ農家の女性たちの、こんな思いから生まれた。

 村は津軽半島の山々と陸奥湾に囲まれ、豊かな自然の恵みが人々の暮らしを支えてきた。ヤマセの影響を受けやすい風土でもあり、米価の落ち込みが続く中でコメ作りからの転換が拡大。30年ほどの間に、首都圏の市場関係者でも「桃太郎トマトの村」として知られるほど産地化が進んだ。

 「とまとけちゃっぷ」が本格発売されたのは2002年。蓬田村トマト加工グループ(藤田かち子代表)のメンバーが試行錯誤を重ね、合成保存料・着色料を使わずに、完熟トマトを4時間ほど煮詰めてつくる製法を確立した。村内の「よもぎた物産館マルシェよもぎた」に並ぶと、素材と手作り製法へのこだわりが評判を呼び、人気商品となった。

 「大手メーカーに比べれば吹けば飛ぶような加工グループですけど、怖い物知らずでやってきました」と、これまでの歩みを振り返る藤田代表。「とまとけちゃっぷ」のほかにもジャムやピューレ、パスタソースなどのオリジナル商品を加え、販路は青森市内の観光施設やネットショップにも広がっている。

<「海の恵み野菜にも」 久慈修一村長>

 蓬田村名産のトマトを原料にした「とまとけちゃっぷ」は、おかげさまで土産品などとして大変ご好評を頂いています。

 ケチャップは、いろいろな料理に使える調味料として大手メーカー製の商品がたくさんあります。そんな中で、当村の製品に根強いファンが多数いるということは、農家や加工グループの自信にもつながります。

 陸奥湾に面した村は、ホタテガイ養殖も盛ん。弘前大学の協力を得て、海藻や付着物などの養殖残さを堆肥化するという資源循環型農業の実現にも取り組んできました。

 養殖残さ堆肥は、タマネギで一定の成果を上げています。トマトへの応用も視野に土壌分析などを重ね、海の恵みを生かしたブランド野菜作りにつなげたいと思います。

<家族向けのイベント多彩 8月4日、玉松海まつり>

 国道280号沿いの玉松海水浴場は、遠浅で透明度が高く、例年約2万人の海水浴客でにぎわう人気スポット。8月4日に「玉松海まつり」が開催される。

 まつり会場では、村の特産品が当たるクイズやトマトジュース早飲み大会など、家族で楽しめるイベントが盛りだくさん。隣接する「よもぎた物産館マルシェよもぎた」では新鮮野菜や農産加工品などの買い物が楽しめる。まつりの問い合わせは村観光協会(電話0174-27-2450)へ。

久慈修一蓬田村長

行楽客でにぎわう玉松海水浴場

蓬田村

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