阿部雅龍さん写真集に 病気回復願い、由利本荘出身の写真家出版

東京・京橋で始まった個展会場で、写真集を手に持つ高橋さん
 秋田県由利本荘市出身の写真家高橋こうたさん(37)=千葉県住=が28日、人類未踏の「白瀬ルート」を通り南極点到達を目指す冒険家阿部雅龍さん(41)=秋田市生まれ、潟上市育ち=をテーマとした写真集「80°05’」を出版した。現在闘病中の阿部さんの回復を願い、「二人三脚で作った」と語る力作だ。

 高橋さんは阿部さんと秋田大の同窓で長年の友人。度重なるトラブルにめげず南極点を目指す阿部さんを見てきた。「何が彼を探検、冒険に突き動かすのだろう」。そんな疑問から2020年11月、阿部さんを主人公とする写真集の制作に取りかかった。

 21年には南極探検に向かう阿部さんに同行しチリに渡った。私生活にも密着。自宅や実家に足を運び、日常やルーツを切り取った。にかほ市金浦出身で日本初の南極探検家白瀬矗(のぶ)中尉(1861~1946年)に関する史料に当たり、阿部さんと白瀬中尉という2人の冒険家を巡るストーリーを浮かび上がらせた。

 写真集のタイトルは、白瀬隊の1912年1月28日の最終到達地点、南緯80度05分に由来する。発行日も1月28日と決めていた。高橋さんは「日本の冒険史にとって重要な日で、阿部が時代を超えて白瀬の遺志を受け継いだ日でもある。一緒に探検に出る気持ちになってページをめくってほしい」と語る。

 南極点への再挑戦を控えていた阿部さんは昨年8月、脳腫瘍が見つかり緊急入院。手術を受け闘病中ということもあり、写真集には回復の祈りも込めている。手製の受注生産で2万2千円(税別)。

 発行日の28日には、東京・京橋の72ギャラリーで高橋さんの個展が始まった。阿部さんのファンや支援者も来場し「病気を乗り越えて元気な姿を見せてほしい」と回復を願う声が聞かれた。

 入場無料、2月4日まで。正午~午後7時(最終日は5時)。会場で写真集の注文を受け付けている。

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