大仙市出身の仏画家・鈴木空如の生涯にスポット 29日から生誕150年記念展

作業する仏画家・鈴木空如(大仙市提供)
 今年は秋田県大仙市太田地域生まれの仏画家・鈴木空如(くうにょ)(本名・久治(きゅうじ)、1873~1946年)の生誕150年の節目に当たる。法隆寺(奈良県)の金堂壁画を模写し、壁画の再現に役立てられたが、その業績が広く知られ評価されたのは死後のことだった。大仙市は「生誕150年記念 鈴木空如展」を29日から来月14日まで、太田文化プラザで開き、その生涯に光を当てる。


 空如は小神成(こがなり)村(現大仙市太田町小神成)の旧家の三男として生まれた。19歳で画家を志して上京。日清戦争への従軍を経て、25歳で東京美術学校(現東京芸大)の日本画選科に入学し、研究科(現大学院)を修了して、仏画家としての道を歩んだ。

 表現技法を学んで自身の技術向上に生かすとともに、金堂壁画の価値を世に広めるため、飛鳥時代に描かれた壁画を模写。大小12面(縦3・1メートル、横1・6~2・7メートル)を原寸大で、3組計36面描いた。

 空如の死から3年がたった49年、金堂壁画は火災で一部が焼失し、残りの多くも変色するなどした。67~68年の再現事業では、写真が基礎資料となったが、一部不鮮明な部分は空如の模写が参考にされた。

 空如はこのほか、熊本県の願成寺に伝わり、後に散逸する平安時代の仏画集「金胎(こんたい)仏画帖(ちょう)」などを模写。一方で、若い頃は画家として成功し経済的に自立することに焦り、苦しんだともいわれる。

 「生誕150年記念 鈴木空如展」は、金堂壁画や散逸した仏画の模写、苦悩をうかがわせる書簡など67点を展示する。午前9時~午後4時、会期中無休。無料。土日祝日と10日は、午後2時からギャラリートークを行う。太田文化プラザTEL0187・88・1118

地元支援者2人の所蔵展 美郷町・学友館、22日から
 生前、画家として高く評価されることがなかった空如は、親類や地元の支援者を頼って生活せざるを得なかった。

 特に良き理解者だったのが、千屋村(現美郷町千屋)出身で、衆議院議員を務め、村の発展に尽力した坂本東嶽(本名・理一郎、1861~1917年)。それに内小友村(現大仙市内小友)の村長を務めた佐藤維山(本名・維一郎、1890~1965年)だった。

 美郷町は空如生誕150年の関連展示として、「鈴木空如の画業を支えた人々―坂本東嶽・佐藤維山」を22日から5月28日まで、学友館で開催する。東嶽と維山が所蔵した空如作品や書簡などを展示する。前期は5月14日まで。後期は一部展示品を入れ替えて16日から。前後期合わせて46点を展示する。月曜休館。初日の4月22日は午前9時からギャラリートークを行う(要予約)。入館料は一般300円、高校生以下無料。学友館TEL0187・84・4040

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