もぐらんぴあ、海の魅力と希望伝え30年 久慈地下水族科学館

 久慈市侍浜町の久慈地下水族科学館もぐらんぴあ(宇部修館長)は22日、30周年を迎える。日本唯一の地下水族館としてオープンし、多くの来場者を楽しませてきた。東日本大震災では生き物のほとんどが犠牲となり、津波から生き延びたアオウミガメ「かめ吉」が泳ぐ姿は復興のシンボルとして人々に希望を与えた。関係者は海の魅力の発信拠点としてさらなる発展を誓う。

 長さ10メートル、水量80トンのトンネル水槽を悠々と泳ぐかめ吉を見上げ、オープン当初から携わる宇部館長(67)は「いろいろあった。こうして今があるのも皆さまのおかげ」と感慨を込める。開館以来212万もの人が訪れ、命の輝きに触れてきた。

 もぐらんぴあは1994年に本県初の水族館としてオープン。その年のゴールデンウイークには久慈市内に約7キロの渋滞が発生するほどにぎわった。その後17年間で入館者は130万人を超えたが、2011年に東日本大震災の津波で施設が全壊した。

 3千匹の生き物のうち、奇跡的に生き残ったかめ吉を含む約20匹は八戸市水産科学館マリエントに託された。宇部館長は「この先どうなるか不透明で、精神的にずたぼろな中でかめ吉が生きていてくれた。何としても助けねばという気持ちになった」と振り返る。

 多くの人が再出発を後押しした。タレントで東京海洋大客員教授のさかなクンらが水槽や生き物を提供し、8月には市街地の一角で「まちなか水族館」がスタート。5年間で延べ31万5千人が訪れた。市は国の災害復旧事業費などを活用し約14億円をかけて再建。16年に完全復活を遂げた。

 週1度ほど、学校帰りに訪れる久慈拓陽支援学校小学部3年の田中健登君は「クラゲが大好きになった。たくさん見られるから楽しい」と食い入るように見つめる。飼育担当者に話を聞いたり、図鑑を買ってクラゲについて調べたりと関心を深めている。

 新型コロナウイルス禍では3万人台まで落ち込んだ来館者も昨年度は6万人以上まで回復した。「さあ、これからだ」と宇部館長。現在は300種3千匹以上が暮らし、海の豊かさや生物の魅力を伝え続けるもぐらんぴあ。「30周年イヤー」は始まったばかりだ。


 

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