少雪でも「できる限りおもてなししたい」 横手のかまくら、15日開幕

木戸五郎兵衛村で行われたかまくらの撮影会=14日午後5時40分ごろ
 秋田県横手市の小正月行事「かまくら」が15日、2日間の日程で始まる。主催する市観光協会は雪不足の中、市外から雪をかき集め、上昇する気温に気をもみながら準備を進めてきた。14日はかまくらの補修、関連イベント用のミニかまくら作りのほか、同市雄物川町の民家苑木戸五郎兵衛村で恒例の撮影会が行われた。

 この日は市観光協会公認のかまくら職人15人が、午前中から市内各地でかまくらの補修作業に追われた。スコップで表面を整えたり、穴の大きさを微調整したりした。周辺に積雪はほとんどなく、降雨に備えブルーシートで覆われたかまくらも目立った。

 秋田地方気象台によると、14日午後5時現在の同市の積雪は0センチで、夜間から15日にかけては雨の予報。積雪の観測が始まった1980年以降、2月14日の最深積雪がこれまで最も少なかったのは2007年の2センチ。記録的な暖冬少雪だった20年も30センチあった。この日は気温も上昇し、最高気温は4月上旬並みの13・1度となった。

 職人歴16年という高橋勝則さん(69)=同市婦気大堤=は「行事前日にこれだけ雪が少なく、気温も高いのは経験にない。ぎりぎりまで手直ししたい」と話した。

 蛇の崎川原では市民有志でつくる「灯(あか)り点(とも)し隊」とともに、2015年から協力に訪れている日本大学工学部(福島県郡山市)の学生ら約50人がミニかまくら作りを進めた。本番までに3500個を制作する。横手南小学校校庭のミニかまくらは実施を見送った。

 午後5時過ぎには木戸五郎兵衛村で、かやぶき屋根の古民家を背景にした恒例の撮影会が開かれた。地元の小学生がかまくらで七輪を囲み、県内外から集まったアマチュアカメラマンが情緒ある風景を写真に収めた。

 市役所本庁舎前や横手公園などに約50基設置されたかまくらは15、16の両日、午後6~9時に明かりがともされる。今年は4年ぶりに子どもたちによる甘酒の振る舞いを再開する。各会場でかまくら職人や市観光協会の職員が見張り、崩れる危険性がある場合は立ち入り禁止にするなど安全を確保する。

 市観光協会は「記録的な雪不足だが、できる限りのおもてなしをしたい。多くの人に足を運んでいただけたらうれしい」としている。

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