弘前市立郷土文学館で2日、青森県弘前市出身の直木賞作家・長部日出雄さん(1934~2018年)の直筆原稿や愛用の帽子などの遺品を展示する企画展が開幕した。来年2月29日まで。
目玉は長部さんが遺した直筆原稿。遺族が11月までに同館に寄贈した708点のうち、6点を厳選した。
中でも興味深いのは、歴史小説「未完反語派」。弘前藩出身の文人・建部綾足(たけべあやたり)(1719~74年)と建部の伝記執筆を試みる作家の生涯を重層的に描いた作品。
建部は文学、絵画、国文学など多方面で業績を残した。私生活では、兄嫁との恋ゆえ弘前藩出奔を余儀なくされた上、後年も全国を放浪した。長部さんが愛した津軽から生まれた、太宰治や葛西善蔵ら破滅型の文学者の原型でもある。
一切を捨て阿弥陀如来の名号を唱えた僧侶の一遍、信仰のため国外追放されたキリシタン大名の高山右近を描いた作品も並ぶ。芸術や宗教に身をささげた人物を通して人間存在を探求した、長部さんの執念が分かる展示内容となっている。
同館の企画研究専門員・櫛引洋一さん(68)は「活字とは違い、作家の息遣いまでが感じられる直筆原稿に触れてほしい」と話した。
目玉は長部さんが遺した直筆原稿。遺族が11月までに同館に寄贈した708点のうち、6点を厳選した。
中でも興味深いのは、歴史小説「未完反語派」。弘前藩出身の文人・建部綾足(たけべあやたり)(1719~74年)と建部の伝記執筆を試みる作家の生涯を重層的に描いた作品。
建部は文学、絵画、国文学など多方面で業績を残した。私生活では、兄嫁との恋ゆえ弘前藩出奔を余儀なくされた上、後年も全国を放浪した。長部さんが愛した津軽から生まれた、太宰治や葛西善蔵ら破滅型の文学者の原型でもある。
一切を捨て阿弥陀如来の名号を唱えた僧侶の一遍、信仰のため国外追放されたキリシタン大名の高山右近を描いた作品も並ぶ。芸術や宗教に身をささげた人物を通して人間存在を探求した、長部さんの執念が分かる展示内容となっている。
同館の企画研究専門員・櫛引洋一さん(68)は「活字とは違い、作家の息遣いまでが感じられる直筆原稿に触れてほしい」と話した。