内陸線の魅力再発見、全29駅「鉄印」そろう 沿線風景描きPR

2月発売された第6弾。各駅の特色が描かれている
 秋田内陸縦貫鉄道が各駅や周辺風景をイラストにし順次発売してきた「鉄印」が、全29駅分出そろった。デザインした観光アテンダントの武田千鳥さん(52)は「鉄印を眺めて、それぞれの駅にしかない物語を楽しんでほしい」とアピールする。

 鉄印は、秋田内陸縦貫鉄道や由利高原鉄道など地方鉄道40社が加盟する「第三セクター鉄道等協議会」が、寺社を巡って集める御朱印にあやかり2020年から企画。鉄道各社が沿線の特色を生かした鉄印を作りPRに活用している。協議会によると、全駅をモチーフに鉄印を作っている鉄道は珍しい。

 秋田内陸縦貫鉄道の鉄印は縦13センチ、横10センチで、和紙に原画をプリントしている。1枚300円で、昨年3月に第1弾として4駅の販売をスタートし、2月初旬発売の第6弾5駅で全駅を網羅した。これまで3千枚以上を売り上げ、第5弾分までは完売している。

 北秋田市生まれの武田さんは、09年から観光アテンダントとして急行列車で案内や車内販売を担当。イラストは車内から見続けた風景を、絵の具や色鉛筆などでA4用紙に描いた。駅員、運転士のアドバイスを参考に1駅を1週間ほどかけて仕上げた。

 昨年、リニューアル4周年を迎えた阿仁合駅を題材にし、周りから好評を得た。角館、鷹巣と主要駅から作り始めたが、各駅と四季が織りなす風景にはそれぞれの表情があり、「筆が止まらなくなった」と全駅作成を決めた。

 笑内駅は、昨夏に咲き誇ったヒマワリ畑をテーマにした。アニメ映画「君の名は。」に登場する駅にそっくりだと話題となった前田南駅の鉄印は、映画のシーンと同じ構図に挑んだ。

 第6弾の西鷹巣駅は乗客数が少なく、沿線の中でも目立たない存在だと思っていた。田んぼが多く何を描くか悩んだが、同僚の助言を受け、ハクチョウが駅周辺の田んぼで羽を休めていることに気付いた。

 「何げない風景でも、視点を変えてみると魅力を見つけられると感じた。沿線の見どころを再発見するきっかけとなった」と振り返る。印刷で思うような色が出ず描き直した時もあった。「締め切りに追われる漫画家の気分を味わった。それでもお客さんの手に渡るもの。決して妥協はできなかった」

 4月には全駅の鉄印原画展を開く予定。武田さんは「車窓からしか楽しめない四季の変化がある。鉄印とともに旅をすれば、より一層楽しくなるはず」と語った。

 第6弾は阿仁合駅で販売。第1~5弾は再発売を検討している。

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