六郷のカマクラ、二つの主催団体を一本化 「心を一つに」

天筆を模したのぼりの前に立つ小西会長。「町内外の人に楽しんでもらい、地域活性化に結び付けたい」
 15日まで開かれている秋田県美郷町六郷地域の小正月行事「六郷のカマクラ」は今回から、二つの関係団体を一本化し立ち上げた「六郷のカマクラ行事継承会」が主催している。会長に就いた小西正一郎さん(60)=馬町=は「いよいよ行事が始まり身の引き締まる思いだ。伝統を忠実に受け継ぎ行事を盛り上げたい」と意欲を語る。

 昨年までは「六郷カマクラ保存会」が主催団体として天筆焼きや竹うちを実施。保存会とは別に、旧美郷町観光協会の会員を中心とした「六郷のカマクラ実行委員会」が、天筆掲揚や天筆書き体験などの観光関連事業を担ってきた。

 複数の団体が関わることでスムーズに進みにくい部分があった運営体制を改善し、それぞれのスタッフが減少する中で一体となって継承に向けた議論に本腰を入れる必要があるとして、関係者は統合に向け調整を図ってきた。

 新団体は限られたスタッフの力を結集し、円滑な運営と行事の継承を目指して昨年12月23日に設立。小西会長は設立総会で「行事は鎌倉時代から700年続いている。先人の思いや2団体が大切に守ってきたことを受け止め、心を一つにして盛り上げていこう」と呼びかけた。

 行事を締めくくる竹うちを巡っては近年、打ち手の減少が課題となっている。20年以上前は400~500人ほどだったが、過去10年は200~300人程度。1月7日に開いた打ち手会議では、開催日を毎年2月15日ではなく、多くの人が参加しやすいよう休日にした方がいいとの提案も出た。

 開催日の変更は以前から何度も話題に上っているが、伝統を維持すべきだとの意見も根強く結論は出ていない。小西会長は「まずは今年の状況を踏まえ来年新しい動きを起こす。どう盛り上げていくかみんなで話し合いたい」と見据える。

 最終日15日は、本道町の秋田諏訪宮前にあるカマクラ畑で午後7時40分から花火を打ち上げ、8時に竹うちが始まる。問い合わせは六郷のカマクラ行事継承会事務局(名水市場湧太郎内)TEL0187・84・0110


【六郷のカマクラ】 害鳥を追い払い豊作を願う意味を持つ雪室「鳥追い小屋」作りや、願い事を書いた「天筆」の掲揚、天筆焼き、竹うちなど5日間にわたって行われる行事の総称。京都御所や鎌倉幕府で行われていた火祭り「左義長」と「吉書焼き」の行事を六郷の地頭二階堂氏が持ち込み、農民の豊作祈願の行事と合わさったと伝わる。竹うちは後発で、天筆焼きの際に竹同士が触れ合ったのが始まりとされる。カマクラは1982年、国重要無形民俗文化財に指定された。

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