上桧木内で10日「紙風船上げ」 3年ぶり観光行事

内陸線を応援する思いを込め紙風船を作る坂本集落の住民ら=坂本会館
 秋田県仙北市西木町上桧木内の伝統行事「紙風船上げ」が10日、市紙風船館隣の広場で行われる。過去2年は新型コロナウイルスの影響で観光客を招かず地域住民のみで行ったが、今年は3年ぶりに観光行事として実施する。紙風船を上げる地元の8集落は準備に余念がない。

 上桧木内の紙風船上げは江戸時代から続くとされる小正月行事で五穀豊穣(ほうじょう)や無病息災、家内安全を祈る。江戸時代の科学者・平賀源内が銅山の技術指導に訪れた際、熱気球の原理を応用した遊びとして伝えたともいわれる。

 1月最後の日曜日、坂本集落の会館には住民ら9人が集まり、風船作りの作業が大詰めを迎えていた。貼り合わせた白い紙にプロジェクターで絵や文字を投影させ、鉛筆で下書きして丁寧に色を塗る。完成した風船は高さ約6メートルにもなる。今年は地元を走る秋田内陸線を応援しようと、列車の絵を描いた風船を作った。みんなで内陸線に乗って守っていこうとの思いを込めた。

 毎年のように積雪が1メートルを超える上桧木内。厳しい冬でも住民が集まり、力を合わせて準備する紙風船上げは、地域のつながりを保つためになくてはならない伝統行事だという。

 上桧木内出身で仙台市に住む門脇忠夫さん(65)は、妹や同級生がいる坂本集落の風船作りに毎年駆け付ける。3年前からは仙台の自宅で紙風船に絵を描き、持参している。「地元を忘れたくないし、何かの形で貢献したい。古里を思い出しながら絵を描くと、離れていても気持ちはつながっていると実感できる」と語る。

 多い時は全体で100個以上の紙風船が上がったが、今年は約50個の予定。各集落で少子高齢化が進み、年々風船作りの人手を確保するのが難しくなっている。

 各集落は企業や団体から協賛を募り、社名などが入った紙風船を打ち上げる。宮田集落は今年、市内の建設業・瀧神巧業の協賛を得て、同社のマスコットキャラクターを描いた紙風船を作った。作業には社員も参加し、下書きや色塗りなどを住民と一緒に行った。

 宮田集落の斎藤雄馬さん(45)は「地域にとって大切な行事だが、住民だけで続けていくのは難しい。企業の力も借りながら、できる範囲で伝統をつないでいきたい」。

 10日は午後4時に開場し、神事に続き5時に地元のこども園や小中学校の紙風船を上げる。6、8時には地元8集落の風船が一斉に夜空を舞う。来場者が風船に願い事を書き込める「願い事書き紙風船コーナー」もあり、7時から上げる。

 主催する上桧木内紙風船上げ保存委員会の阿部明雄会長(65)は「国内外で明るいニュースが少ない。短い時間だけでも楽しさや幸せを感じてもらえるような紙風船上げにしたい。多くの人に見てもらえることを楽しみにしている」と話した。

 駐車場の台数に限りがあるため、保存委員会は秋田内陸線の利用を呼びかけている。最寄りの上桧木内駅から会場まで徒歩約7分。

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